平松

プロフィール

平松 誠 講師 / HIRAMATSU Makoto
研究内容

1. 出身地域による教育機会の不平等に関する研究
2. 居住地域による社会意識形成メカニズムに関する研究
3. 量的データ・地図データを活用した都市社会学的研究

研究分野
都市社会学、地域社会学、計量社会学
キーワード
地域間格差、都道府県間格差、近隣効果、居住効果、地域移動
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人間科学部門/社会学分野/社会学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人間科学専攻/社会学講座/社会学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/人間科学コース/社会学研究室
連絡先

Email: m.hiramatsu*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
社会学研究室平松 誠 講師

従来の都市像から距離を取り
地域の特性をとらえ直す

社会学の中でも「都市・地域社会学」は、社会学と地理学の間に位置するような学問だと考えています。「都市」や「地域」という視点を持つことで東京や大阪に象徴される大都市中心の考えから距離を取ることができ、平均的な都市像からのズレを対象地域の特性ととらえ直すことができる。そこに面白みがあると感じています。そう考えると、札幌のような200万人都市から人口数百人の村までを内包する北海道は、都市・地域社会学の理想のフィールド。「雪」や「クマ」等の表層的なイメージの奥にどういう時間や空間が存在するのかを、データを通して明らかにしてみませんか。リアルな調査から地域の正体が「大都市」の金太郎飴ではないことが見えてきます。

ネット社会の今、「都市」の概念や個人と都市の距離も変化してきた。個人が地域を選び、作り変える新たな「地域」像も浮かび上がっている。
教育機会の不平等に関するデータの一例(2015年SSMデータ管理委員会の許可を得て使用)。参照するデータの組み合わせ次第で研究のオリジナリティーが生まれる。(クリックすると拡大します)

コンタクトゾーンで
打ち込んだ分だけ成果を得る

全国から人が集まる北海道大学は、社会学で言う「異質な他者が出会う場=コンタクトゾーン」です。私自身、出身地域の北陸から関西に進学したときはカルチャーショックを幾度も実感し、この時の体験が現在の研究に繋がっています。同様に、多様性の地・北海道にも道内出身者と道外組が共に成長できる刺激的な環境が広がっています。大学院でさらに飛躍する前に過ごす学部の4年間は、皆さんの強靭なバネを作る大切な期間です。社会学、語学、データ分析などの好きなことに真面目に打ち込めば、打ち込んだ分だけ必ず身につきます。真面目に学ぶことを恥ずかしがらず、北海道大学の多彩なリソースを活用して多様性理解につながる知性を一生懸命鍛えていきましょう。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

私の主な専門は都市社会学ですが、常に3つのことを意識して研究をしています。第1に地域が人びとの生活や意識を規定するということです。自分が生まれ育った、あるいは今住んでいる地域によって、自分の人生が知らず知らずのうちに決まっているのだとしたら、不思議でもあるし時に不平等でもあると思いませんか?第2に人々の地域移動(流入、流出)が地域のすがたを変えてしまうということです。たとえば、あるエスニシティを持つ人々は特定の地域に居住しやすいかもしれませんし、高階層の子育て世帯は子どもの教育を考えて公教育の水準が高い地域に引っ越すかもしれません。第3に人びとが都市や地域を変えていく、創り出していくということです。人は地域によって完全に生活を決められてしまう受動的なだけの存在ではありません。自分で、あるいは他者と協働して、地域を作り変えていく力も持っています。

都市や地域はこの3つの現象が重なり合って現れるダイナミックなフィールドです。都市や地域に関する社会現象や問題に興味があるという人は、ぜひ一緒に勉強・研究しましょう。私は主に量的研究を行っていますが、質的研究や地図データを使った研究も歓迎します。

研究活動

略歴

金沢大学人間社会学域人文学類卒、大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。大阪大学大学院人間科学研究科特任研究員、国際日本文化研究センターIR室助教を経て現職。

主要業績

  • 平松誠,2022,「アメリカを中心とした都市社会学の方法論的展開:計量手法の発展に焦点を当てて」『日本都市社会学会年報』40:174-189.
  • 平松誠,2018,「出身地域が教育達成に与える影響」『2015年SSM調査報告書5 教育Ⅱ』,99-112.
  • 平松誠・三谷はるよ,2017,「市民参加を活発化させる地域とは:マルチレベル分析を用いた地域特性の効果の検討」『ソシオロジ』62(2):59-76.

所属学会

  • 日本都市社会学会
  • 数理社会学会
  • 関西社会学会
  • 日本社会学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • 社会学概論
  • 社会変動論
  • 社会調査法実習
  • 社会学演習
  • 社会学特殊演習

授業担当(文学院)

  • 社会学理論特別演習
  • 社会調査法特別演習

授業担当(全学教育)

  • 社会の認識

おすすめの本

  • 『都市の村人たち:イタリア系アメリカ人の階級文化と都市再開発』、ハーバード・J・ガンズ(松本康訳)、ハーベスト社
    生態学的説明、社会解体論的説明という都市決定論的なシカゴ学派の議論に対して、一石を投じた都市社会学の重要な古典です。ガンズの視点は今の都市社会学にも生きているので、興味のある人はぜひ読んでみてください。