青島 陽子

プロフィール

青島 陽子 教授 / AOSHIMA Yoko
研究内容

1.中東欧・ロシア近現代史
2.ロシア帝国の統治構造/その民族政策と境界領域における社会の変容
3.ロシア帝国の西部境界地域の特徴とその歴史的変遷

研究分野
中東欧・ロシア近現代、ロシア帝国統治構造
キーワード
ロシア、中東欧、近現代史、民族問題、近代化
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/スラブ・ユーラシア学講座/スラブ・ユーラシア学研究室
連絡先

研究室: スラブ・ユーラシア研究センター526
Email: yoko.aoshima*slav.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
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Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
スラブ・ユーラシア学研究室青島 陽子 教授

ダイバーシティの中東欧
多民族地域の多層な意識に迫る

ベラルーシ、ウクライナ、バルト諸国、ポーランド、フィンランドなど、ロシアの西方の境界地域に住む人々は、隣接する諸地域から言語・宗教・文化の面でさまざまな影響を受けてきました。これらの地域は、かつて巨大な「陸続きの帝国」の支配のもと、数々の言語・宗教・文化集団が重なり合って居住する多様性の土地でもありました。私が調査研究に行く地域の人々はマルチリンガルが多く、実に鮮やかに数カ国語を駆使するさまを見ていると、その地域に蓄積されたたくましさと同時に豊かさも感じます。多民族が居住する境界地域が近世から現代にかけてどのように変化してきたのか、人々の多層な意識をひもといていきたいと考えています。

イリヤ・レーピン画『1901年5月7日の国家評議会百周年記念会議』を見るたび、ロシア帝国の統治者たちが向き合ったものに思いを馳せる。2011年ペテルブルクのロシア美術館で撮影。
2016年にリトアニアで主催したシンポジウムを踏まえて、2018年には東京で国際シンポジウムを開催(画像は会場風景)。これを機に時代のフィールドを20世紀初頭へと移していった。

最先端の研究・教育環境で
世界を知るプロセスを体験

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターに研究員として勤めていた当時から、北大のエリアスタディーズの先見性や国際的な研究会の活発さを目の当たりにし、教員になった現在も「この分野の研究者にとってこれ以上の研究・教育環境はない」という実感が増すばかりです。諸先生の背中を追いかけていくうちに、自ずと目標が高くなる。私もその一人でした。エリアスタディーズは単に対象地域について詳しくなるだけでなく、世界を知ろうとする時に何を見れば問題の本質がわかるのかを学び、そこで見えてきた自分なりの解答を洗練された言葉で表現する学問です。グローバルな現代社会を生きる皆さんにこそ、この一連のプロセスをぜひとも体験してほしいと願っています。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

ある地域には歴史が澱のように堆積しています。国際関係のバランスの崩れ、経済的な偏差やそれに伴うヒトやモノの移動、軍事的圧迫など、様々な理由から様々な地域で対立や衝突が生じます。その足元には地域の歴史が重く積み重なり、現代の出来事が生じる文脈をつくりあげています。私が関心を抱いているのは、意識的・無意識的に人々の行動や思考を構成している、あるいは、構造的に諸集団の選択肢を一定程度限定している、歴史的なコンテキストを明らかにすることです。対象としている地域は、ロシアとその周辺諸国。

ロシアは、19世紀には西欧列強の一角として近代化していく世界の趨勢を左右し、20世紀には超大国として冷戦の二大陣営の片方を担いました。その支配下には、ロシアの中核と複雑な関係を取り結んだ多様な民族集団が居住していました。私はこうした諸民族とロシア中核とのミクロの関係を追いながら、それがロシア国家全体を動かし、さらには世界の大きな流れを生み出していくプロセスを描き出したいと思っています。

研究対象とする地域も魅力的です。私は現在、特にロシア帝国の西部境界地域―フィンランドからバルト地域、ポーランド、ベラルーシ・ウクライナ―とロシアの関係を研究しています。ヨーロッパとロシアの境界にあって、同時代の多様な問題がこの地域で独特の形で噴出します。その形をつくっているのは、古くから蓄積した地域の歴史です。世界を把握する大きな視野を求めながら、対象地域の独自の歴史に深く足を踏み入れていきましょう。

研究活動

略歴

1973年生まれ。1997年東京大学文学部歴史文化学科卒、1999年東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了、 2007年同博士課程単位取得退学、2010年博士(文学)。2011年愛知大学文学部助教、2013年神戸大学大学院国際文化学研究科講師、2016年同准教授、2020年北海道大学スラブ研究センター准教授。

主要業績

  • The Tsar, the Empire, and the Nation: Dilemmas of Nationalization in Russia’s Western Borderlands, 1905-1915 (Budapest: Central European University Press, 2021, Darius Staliūnasとの編著).
  • 「ロシア帝国―陸の巨大帝国と「不可分の国家」像―」『歴史学研究』第1007号、2021年。
  • Entangled Interactions between Religion and National Consciousness in Central and Eastern Europe (Boston, MA: Academic Studies Press, 2020, 編著).
  •  Реформа имперского общества: перемены в языковой политике в школах западных окраин Российской империи в 1904-1905 гг. // Миллеровские чтения—2018 / сост. и отв. ред. д.и.н. И.В.Тункина. СПб.: «Реноме», 2018. С. 506-514.
  • 「陸軍大臣ドミトリ・ミリューチンの回想録」小松久男編著『歴史の転換点シリーズ』第9巻、山川出版社、2018年。
  • 「農民を臣民に鋳直す-帝政期ロシアの農村教師養成のポリティクス-」『歴史学研究』962号、2017。
  • 「ロシア帝国の「宗派工学」にみる帝国統治のパラダイム」池田嘉郎・草野佳矢子編著『国制史は躍動する』刀水書房、2015年。
  • 「大改革とグラスノスチ」中嶋毅編著『新史料で読むロシア史』山川出版社、2013年。

教育活動

おすすめの本

  • 丸山真男『日本の思想』(岩波新書、1961年)
    古典中の古典ですが、基本的な日本語の概念のあり方や、明治以来の日本社会の伝統的な諸問題の構成を改めて振り返り熟考してみるのは、学問を目指す人間にとって共通に意味があるように思います。