諫早 庸一

プロフィール

諫早 庸一 特任准教授 / ISAHAYA Yoichi
研究内容

専門は前近代ユーラシア史、科学史、モンゴル帝国史です。特に文化接触や環境史の観点から、モンゴル帝国(1206~1368年)をアフロ・ユーラシア規模で捉えることを志向しています。

研究分野
中央ユーラシア前近代史、モンゴル帝国史、科学史
キーワード
中央ユーラシア、モンゴル帝国、天文学、環境史、「14世紀の危機」
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/スラブ・ユーラシア学講座/スラブ・ユーラシア学研究室
連絡先

研究室: スラブ・ユーラシア研究センター522
Email: yoichi.isahaya*slav.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

研究生を希望される外国人留学生(日本在住者をふくむ)は、「研究生出願要項【外国人留学生】」に従って、定められた期間に応募してください。教員に直接メールを送信しても返信はありません。
関連リンク
メッセージ

私は、史上最大の陸上帝国であったモンゴル帝国(1206~1368年)を研究しています。ユーラシアの多地域を支配下に置いたモンゴルは、多様な文化集団の差異を維持しながらも、相互理解を可能にするシステムを、政治・経済・文化の多面において構築していました。そして、それは支配者であるモンゴルの政策でもあり、被支配者がモンゴルの支配を自らの内に取り込んだ結果でもありました。こうした双方向性の創発が、このユーラシア帝国を構築し、駆動させていたのです。

スラブ・ユーラシア地域の研究も、その対象は地域・時代・分野ともに実に多様です。教員・学生ともにそれぞれの関心に沿って研究を進める一方、互いに議論し、理解を深め合う場が開かれています。そして、こうした分野横断型の議論の土壌は、必ずしも教員のイニシアティブに拠るものではなく、学生個々人の積極的な関与の賜物でもあります。モンゴル帝国の多元主義が、ここスラブ・ユーラシア学研究室にも見出されるわけです。この種の他流試合に興味がある方、道場破りを歓迎します。

研究活動

略歴

1982年生まれ。2005年神戸大学文学部人文学科東洋史専修卒、2007年神戸大学人文学研究科文化動態専攻東洋史分野修士課程修了、2011年東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学、2015年博士(学術)。2008–2009年東京大学国際哲学センター特別研究員、2009–2011年日本学術振興会特別研究員(DC2)、2011–2014年日本学術振興会特別研究員PD(東京大学東洋文化研究所)、2015–2017年ヘブライ大学ERCプロジェクト「モンゴル時代における移動・帝国・文化接触」ポスドク研究員、2018–2019年日本学術振興会特別研究員RPD(立教大学)、2019–2023年北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター助教、2023年同特任准教授。

主要業績

主要業績として、

  • 『ユーラシア史のなかのモンゴル帝国』(みすず書房, 2024年)
  • 「「14世紀の危機」の語り方——ヨーロッパ到来以前の黒死病」『思想』1200号 (2024年): 9–32頁。

他にも「モンゴル帝国期ユーラシアにおける天文対話」三部作を手掛ける。

  1. “Fu Mengzhi: “The Sage of Cathay” in Mongol Iran and Astral Sciences along the Silk Roads” in M. Biran et al. (eds.), Along the Silk Roads in Mongol Eurasia (Berkeley: University of California Press, 2020), 
  2.  “Geometrizing Chinese Astronomy? The View from a Diagram in the Kashf al-ḥaqāʾiq by al-Nīsābūrī (d. ca. 1330)” in B. Mak & E. Huntington (eds.), Overlapping Cosmologies in Asia (Leiden: Brill, 2022), 
  3.  “Islamicate Astral Sciences in Eastern Eurasia during the Mongol-Yuan Dynasty (1271–1368)” in S. Brentjes (ed.), Routledge Handbook on Science in the Islamicate World (London: Routledge, 2022)。

所属学会

  • 日本中東学会
  • 日本科学史学会
  • 日本中央アジア学会

教育活動

授業担当(文学院)

  • スラブ・ユーラシア総合研究特別演習
  • スラブ・ユーラシア研究の基礎と方法
  • 前近代ユーラシア環境史

おすすめの本

  • 峯陽一『2100年の世界地図——アフラシアの時代』(岩波書店, 2019年)
    アジアの過去を踏まえ、ヨーロッパの今を感じながら、アフリカに未来を見る。時代、地域、そして学問の壁を越えた先を教えてくれる好著です。