〈特集図書展示No.30〉文学研究院 出版助成図書2022 展示詳細

書香の森・特集展示の更新を行いました。今回は2022年度に文学研究院の助成を受けて出版された書籍を紹介します。

  • 展示期間: 2023年8月10日(木)〜11月30日(木)

展示図書リスト

一般図書刊行助成

  • 近松浄瑠璃と周辺 →web書香の森
    冨田 康之 著 新典社)
    〈内容紹介〉本書は近松門左衛門の世話物浄瑠璃を主に考察したものですが、視野を広げて近松の「画像辞世文」、『難波みやげ』、近松作品と同題材を扱った紀海音の世話浄瑠璃をも対象としました。また、『仮名手本忠臣蔵』は近松と海音の両者とも扱った題材であり、忠臣蔵集大成としての作品として取り上げました。また、「絵尽し」と呼ばれる資料について、絵の構図と読み進め方の方法を考察したものも含めました。
  • 新派映画の系譜学 — クロスメディアとしての<新派> →web書香の森
    (上田 学、小川 佐和子 編 森話社)
    〈内容紹介〉新派映画は、家父長制の犠牲となるヒロインの受苦を描くという類型的なメロドラマのイメージが強いです。しかしそればかりでなく、じつは喜劇や翻案劇など多様な試みを実践しながら、大衆の心性と共鳴し人気を得ていきました。本書では、映画史的には周縁とされてきた新派映画の魅力を、演劇・文学・音楽の観点からも検討し、〈新派〉的な感性の広がりを再発見していきます。
  • ひらがなの天使 — 谷川俊太郎の現代詩  →web書香の森
    中村 三春 著 七月社)
    〈内容紹介〉1952年の『二十億光年の孤独』発表以来、70年にわたって日本の代表的詩人として活躍する谷川俊太郎の詩について、現代アートの観点から読み直しを試みる。谷川はこの間に次々と詩の形式や発表形態を変様させ、革新を企てながらも、詩的発語の動機として、一貫して沈黙と言葉との対峙する場を見つめ続けた。本書はその営為の全貌を、美術や音楽との関わりに注力して論じている。その際のキーワードは、作品や事象からの、触発による創造(creation by contact)である。
  • ミヤギフトシ 物語を紡ぐ →web書香の森
    浅沼 敬子 編著、星野太、岩川ありさ、シュテファン・ヴューラー、ミヤギフトシ著 水声社)
    〈内容紹介〉東京を拠点に活動する現代アーティスト、ミヤギフトシのモノグラフ。セクシュアル・マイノリティをはじめマイノリティの表現を模索してきたミヤギは、写真や映像、インスタレーションに加えエッセイや小説を発表し、従来「アート」と「文学」と区分されてきた領域を横断する表現をつづけている。本書は、アート、クイア理論、文学の専門家がそれぞれの視点からミヤギ作品を論じる論集部分と、ミヤギ作品の図版と解説、インタヴューなどの資料部分を併載した、包括的モノグラフである。

文学研究院 研究叢書

  • ゲルマン語歴史類型論 →web書香の森
    清水 誠 著 北海道大学出版会)
    〈内容紹介〉英語・ドイツ語に片寄らず、60余りの現代語・古語・方言のデータをもとに、古今のゲルマン諸語の構造を歴史言語学と言語類型論の観点から体系的に分析した論集です。拙著『ゲルマン語入門』(日本独文学会賞受賞)では扱えなかった現代ゲルマン諸語の文法現象を中心に、属格と所有表現、形容詞変化、「割れ」と短母音化、動詞接頭辞、名詞抱合、後置定冠詞を取り上げています。

文学研究院 楡文叢書

  • 空海の字書 — 人文情報学から見た篆隷万象名義web書香の森
    李 媛 著 北海道大学出版会)
    〈内容紹介〉本書は、空海の字書―日本現存最古の漢字字書である高山寺本『篆隷万象名義』を基礎資料として、玉篇系字書全般を視野に入れ、大別して情報学、書物学、文字学の三つの視点から本文解読へとアプローチする古辞書研究である。これら三つの視点から総合的に研究することで、いくつかの新しい知見を提示することができた。また難字の多い古写本を電子テキスト化した点と、日中の本文研究の成果を統合して論じた点に、本研究の特長がある。