「プラス1ピース読書会Vol.9」開催されました

5月15日(火)、文学研究科「書香の森」にて第9回「プラス1ピースの読書会」が開催されました。今回取り上げたのは、千葉 惠先生(哲学講座)の『信の哲学』です。パウロの「ローマ書」を対象に、アリストテレス哲学を共通尺度として立て、意味論的・心身論的分析を行ったその過程についてお話しいただきました。これまで誰も解き得なかった問いに対し、「恥ずべき」という訳語に違和感を感じ、意味論的分析を続けたことでひとつの解を導き出したことについて、「日本人だからこそ疑問をもち違和感に気づけた」と振り返っておられました。

今回の読書会で特徴的だったのは、千葉先生のお話を熱心にメモする学生さんが何人もいたことです。学生さんからの質問に、千葉先生も丁寧に回答されていました。知の集積は彼らのように真摯に学ぶ人たちに受け継がれていくのかもしれません。上下巻あわせて1,396ページの大著を、お昼休みの20分間で語っていただくには、時間が十分とは言えませんでしたが、読書会終了後に千葉先生と一緒に哲学談義をしながらランチをした学生さん達もいたようです。

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今回のプラス1ピースのテーマは「茨戸川」。研究者人生の中で3回の大きなひらめき、セレンディピティを経て『信の哲学』が完成したと振り返る千葉先生。その第1回目が1997年10月4日、茨戸川のほとりを散歩した際に、たまたまポケットにしのばせたアリストテレスの本を紐解いたところで、ずっと持ち続けていた問いの解が突如ひらめいたそうです。その時のブレイクスルーが、1999年8月15日、2012年10月18日のセレンディピティにつながっていったという、『信の哲学』誕生秘話をお話しくださいました。

当日千葉先生にご持参いただいたパネル(写真上:本の右横)は、千葉先生の研究成果について海外からのコメントを記したもので、その内容は以下の通りです。

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千葉先生のお話をもっとじっくり聞きたいという方は、6月2日に以下の90分間のイベントもあります。こちらも奮ってご参加ください。

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