2018.02.28

信の哲学(下巻)

使徒パウロはどこまで共約可能か
著者名:
千葉 惠(著)
文学院・文学研究院教員:

内容紹介

使徒パウロの「ローマ書」を主な考察対象とし、アリストテレス哲学を共約性規準、共通尺度として立て、その言語哲学により意味論的分析を行います。その分析に基づき「ロゴスとエルゴン(理論と実践)」の相補性、書簡の無矛盾性、心魂における信の根源性を明らかにします。とりわけ、ローマ書根幹部(3:22)のラテン語訳から始まった誤訳の指摘により、信仰義認論や予定論等多くの神学、哲学論争に終止符を打ち和解への基礎を築きます。

著者からのコメント

信じるひとにも信じないひとにも理解できる次元でローマ帝国に革命的な変革をもたらした「ローマ書」の力を提示しています。心魂の根底の探求をパウロとともに遂行していただければと存じます。

『信の哲学』(上巻)

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ISBN: 9784832968370
発行日: 2018.02.28
体裁: A5判・538ページ
定価: 本体価格9,000円+税
出版社: 北海道大学出版会
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第3部 神学と哲学の係争点克服を担う信の哲学
第五章 理性と信仰―アンセルムスの神の存在論的論証とカントの超越論哲学による挑戦
第六章 ペラギウス論争と様相分析による恩恵と自由裁量の両立様式
第七章 アンセルムス贖罪論における正義と憐れみの両立する唯一の場―司法的正義とより根源的な真っ直ぐの正義
第八章 トマス・アクィナスとマルティン・ルターにおける信と愛
第九章 哲学と神学を媒介する信の哲学―ハイデガー実存哲学の形成を手掛かりに