内容紹介
令和3年度アイヌ工芸品展「アイヌのくらし:時代・地域・さまざまな姿」の展示図録です。くらしのなかの工芸品を、地域と人に焦点をあて、制作者の御子孫によることばも交え、時代に即して示す新しい試みです。
なお展示は、北海道博物館(札幌市:2021年10月16日~12月12日)・群馬県立歴史博物館(高崎市:2022年1月15日~3月6日)で開催され、北海道博物館は入場無料です。
著者からのコメント
わたしたちは、この展示の企画委員として参加しました。感染症流行のなか、展示の開催自体が危ぶまれる場面もありましたが、無事開幕でき、安堵しています。
展示構成や図録の編集は、北海道博物館の大坂拓学芸主査が中心になって練られたもので、アイヌ工芸品の美的鑑賞にとどまらず、社会的機能や歴史的経緯にも重点を置いた叙述となっていて、新しいアイヌ史の方向性が示されているともいえそうです。
執筆陣には、文学研究科で学ばれた北海道博物館の亀丸由紀子学芸員や、文学院で学びを深めておられる同館田中祐未学芸員も企画委員として参加しておられます。こうした身近な若い研究者との協業は嬉しく頼もしいものでした。
この記事に触れてご興味を持たれた方は、ぜひ会場へ足を運んでいただき、またこの読み応えのある図録(全300頁!)をご覧になって、新しいアイヌ史・アイヌ文化研究の“現場”の息吹に触れていただければと思います。
- 谷本教授担当
第I章 「恵曽谷日誌」に描かれたアイヌ 明治初頭の北海道日本海岸南部の文化状況
第III章 工芸品に込められた主張 「完全ナル社会人」をめぐって - 山崎准教授担当
第V章 2 日高西部 今、アイヌ工芸について思うこと 貝澤徹氏と共著 - 北原准教授担当
アイヌ文化を見る目 好意による「非人間化」