2019.02.28

堀田善衞 乱世を生きる

著者名:
水溜 真由美(著)
文学院・文学研究院教員:
水溜 真由美 みずたまり まゆみ 教員ページ

内容紹介

第二次戦後派として知られる堀田善衞(1918-1998)は、二・二六事件の前日に大学受験のため富山から上京し、戦争末期に上海に渡って上海で敗戦を迎えた後、国民党に留用されて国共内戦を目の当たりにした。1950年代半ば以降は、アジア・アフリカ作家会議の活動を通じて冷戦期の国際状況と関わった。本書は、堀田善衞が、乱世をどのように生き、どのように描き、どのように思考したのかを明らかにする試みである。

著者からのコメント

堀田善衞は、一見地味な作家ですが、実はファンが少なくありません。スタジオジブリの宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーも、若い頃から堀田善衞のファンであったと公言しています。けれども、長らくほとんど研究されてきませんでした。近年研究が活発化していますが、敗戦前後の上海体験と初期の作品に関心が集中しています。本書では、堀田善衞の人生全体に目を向け、主要な著作をできるだけ網羅的に論じました。 豊かな教養とフットワークの軽さを武器にして、「乱世をどう生きるか」というテーマと生涯格闘し続けた堀田善衞の姿に、今日的意味を読み取っていただければ、大変嬉しいです。

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ISBN: 9784779513640
発行日: 2019.02.28
体裁: 四六判・448ページ
定価: 本体価格3,800円+税
出版社: ナカニシヤ出版
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

序論 戦後派作家としての堀田善衞
第Ⅰ部 乱世を描く試み
第一章 朝鮮戦争 二〇世紀における政治と知識人
「広場の孤独」
第二章 国共内戦 歴史へのコミットメント
『歴史』
第三章 原爆投下 戦争の罪と裁き
『審判』
第四章 南京事件 宿命論との対決
『時間』
第五章 島原天草一揆 ユダとしての知識人
『海鳴りの底から』
第Ⅱ部 乱世を生きる作家・芸術家の肖像
第一章 西行
「西行」、「西行 旅」
第二章 鴨長明・藤原定家
『方丈記私記』、『定家明月記私抄』
第三章 ゴヤ
『ゴヤ』
第四章 モンテーニュ
『ミシェル 城館の人』
第Ⅲ部 アジア・アフリカ作家会議へのコミットメント
第一章 第三世界との出会い
第二章 中ソ対立の中で