内容紹介
第二次戦後派として知られる堀田善衞(1918-1998)は、二・二六事件の前日に大学受験のため富山から上京し、戦争末期に上海に渡って上海で敗戦を迎えた後、国民党に留用されて国共内戦を目の当たりにした。1950年代半ば以降は、アジア・アフリカ作家会議の活動を通じて冷戦期の国際状況と関わった。本書は、堀田善衞が、乱世をどのように生き、どのように描き、どのように思考したのかを明らかにする試みである。
著者からのコメント
堀田善衞は、一見地味な作家ですが、実はファンが少なくありません。スタジオジブリの宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーも、若い頃から堀田善衞のファンであったと公言しています。けれども、長らくほとんど研究されてきませんでした。近年研究が活発化していますが、敗戦前後の上海体験と初期の作品に関心が集中しています。本書では、堀田善衞の人生全体に目を向け、主要な著作をできるだけ網羅的に論じました。 豊かな教養とフットワークの軽さを武器にして、「乱世をどう生きるか」というテーマと生涯格闘し続けた堀田善衞の姿に、今日的意味を読み取っていただければ、大変嬉しいです。
外部リンク
〔出版社〕ナカニシヤ出版の紹介ページ