内容紹介
室町幕府の興亡――
そのカギは対中貿易にあった
南北朝の動乱と戦国時代という二つの内乱の狭間で、文化の華を大きく開かせた足利将軍家。その富と権力の源泉には、“朝貢外交”という、したたかな戦略があった。
(版元Websiteより)
著者からのコメント
NHKのEテレ(教育テレビ)同題番組の内容を大幅に拡充してつくった書物です(番組映像じたいはNHKオンデマンドから削除されたらしく、他のサイトにまだ若干残っているくらいですね……残念)。室町時代の日明貿易を中心に書いた一般書としては、かなり珍しいものではないでしょうか。
たとえば、……勘合のかたちや大きさはどんなものだった? なぜ周防の大内氏が遣明船貿易を壟断することができるようになったのだろう? 「東山御物(ゴモツ)」って何? 義満は明朝に対して卑屈な外交儀礼を行なったのか? 義満は「日本国王」となり天皇を上回る権威を得ようとした? ……などなど、巷間に流布する誤解・思い込み・「わかったつもり」を、できる限り確かな論拠をもって是正することを目指して書きました。
ただし、放送期間と合わせてものすごく慌てて書いたので、恥ずかしい間違いも少なくありません。たとえば、
①19頁6行目 (誤)犠牲的な君臣関係 →(正)擬制的な君臣関係
②185頁5行目 (誤)重量税 →(正)従量税
③187頁4行目 (誤)請負年貢後納 →(正)請負年貢貢納
④189頁地図 図中の「鳥羽」が伊勢・鳥羽の鳥羽になっていますが、いうまでもなくこれは淀川に面する鳥羽津(京都南郊)のこと。したがって図中の伊勢・鳥羽から兵庫への航路も無意味(前頁10行目の「鳥羽」も一般向けには「鳥羽・伏見」とすべきだったか)。
など。たいへん申し訳ありません。
さて、本書の気になるところを覗いてみて(できれば通覧通読して)、学校で習った歴史像と引き比べてみてください。大学で歴史学を研究することの面白さが若干なりとも伝われば、もうそれだけで本書を書いた苦労は報われます。ともあれ、皆さんの感想・質問等、お待ちしております。
外部リンク
〔出版社〕NHK出版の紹介ページ