2018.03.30

日本探偵小説を知る

一五〇年の愉楽
著者名:
押野武志・谷口基・諸岡卓真・横濱雄二(編著)
文学院・文学研究院教員:
押野 武志 おしの たけし 教員ページ

内容紹介

本書は、百年以上にもわたって創造された「日本」の「文化」としての「探偵小説」のダイナミズムを捉えようとするものである。第一部「歴史の視座」では、日本探偵小説の歴史を俯瞰し、第二部「探偵小説論の現在」では、日本型探偵小説の特殊性や今日的な展開を論じる。第三部「座談会」では、札幌市在住のミステリ作家・評論家を招いて、「ミステリと評論の間」をめぐって議論が行われる。

著者からのコメント

本書に通底するのは、「日本探偵小説」を読むことの「愉楽」であり、それを読者の皆さんに伝え、共有したいという思いである。もちろん、時として「日本探偵小説」は、権力との隠微な共犯性を帯びたり、自らの通俗性を卑下し純文学の芸術性に嫉妬したりと陰鬱な側面も併せ持つ。その意味では、本書は、「日本探偵小説」の豊穣性や正統性をことさら擁護するものではない。その貧しさ、その仄暗さも知ってこそ、真の「愉楽」に通じるのではないだろうか。(「あとがき」より)

ISBN: 9784832934016
発行日: 2018.03.30
体裁: 四六判・354ページ
定価: 本体価格2,800円+税
出版社: 北海道大学出版会
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第1部 歴史の視座
〈1868~1920年〉
ロマンの源流――明治期探偵小説の萌芽と挑戦
〈1920~45年〉
黄金時代のディレンマ――探偵小説か、文学か
〈1945~65年〉
〈戦後文学〉としてのミステリ(押野武志)
〈1965~85年〉
ミステリの〈拡散〉
〈1985~2000年〉
「新本格」の登場とジャンルの変容
〈2000年~〉
〈拡散〉と〈集中〉をこえて
第2部 探偵小説論の現在
本格+変格の「お化け屋敷」――山田風太郎『十三角関係』を読む
読者=犯人の系譜――中井英夫から深水黎一郎まで(押野武志)
ミステリのメディアミックス――『八つ墓村』をめぐって
「日常の謎」をこじらせる――相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』論
検索型からポストヒューマンへ――メディア環境から見た10年代本格ミステリのゆくえ
第3部 座談会(ミステリと評論の間)