2018.01.20

しあわせの宗教学

ウェルビーイング研究の視座から
著者名:
櫻井義秀(編)
文学院・文学研究院教員:
櫻井 義秀 さくらい よしひで 教員ページ

内容紹介

揺れ動く社会において、現代宗教は人々を幸せにできるのか?最新の調査やデータに基づき、宗教学の立場からはじめて幸せの問題に迫った画期的論集。

著者からのコメント

近年、人々のウェルビーイング(主観的な幸せ感と客観的な生活の諸条件)を高めるために何が必要なのかと、さまざまな実践的・臨床的学問で論じられている。健康の維持、良好な人間関係、そして過不足ない経済生活がウェルビーイングの主たる三要素であることが広く知られている。では、病を得ていること、人間関係に悩んでいること、貧しさに喘いでいるという人たちは幸せになれないのか。不足が不足のままであれば幸せとは言えないというのが社会科学の診断である。ところが、不足とは考えずに前向きな人生観を持つ人たちも少なくない。現代のウェルビーイング研究では、人は何によって人生に対して前向きに歩めるようになるのかという大きな課題に直面している。日本ではそこに宗教観や宗教文化を持ち込む研究が少ない。それに対して海外では宗教が人々に希望を与える機能を大いに評価している。
本書は、宗教とは何かという数ある定義の一つに、「宗教を生きる人たちは幸せを求め、幸せ感を得ているようだ」という仮説を加えた上で、宗教が人を幸せにするということはどういうことなのかと、現代社会のさまざまな文脈の中で考えぬいた論集である。

☆関連書籍
櫻井義秀・川又俊則編『人口減少社会と寺院ーソーシャル・キャピタルの視座から』(法藏館、2016年3月)

ISBN: 9784831857033
発行日: 2018.01.20
体裁: B6判・346ページ
定価: 本体価格2,500円+税
出版社: 法蔵館
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

はじめに(櫻井義秀)
日本人の幸福感と宗教(櫻井義秀)
しあわせの神話学――英雄が運ぶしあわせ(平藤喜久子)
信仰を支えあう幸せ――「協働」牧会による多世代地域間交流(川又俊則)
若者の地方移住に神社が創り出す新たな「しあわせ」観(板井正斉)
尊厳死は幸せな最期につながるか(片桐資津子)
「幸せ」をつなぐ――宗教にみるジェンダーとケイパビリティ(猪瀬優理)
孤立化社会における傾聴ボランティアの役割―止まり木と順送りの互助(横山忠範)
寺院は子どもの成長をどう助けられるか(稲本琢仙)
宗教は韓国人を幸せにするのか――「セウォル号沈没事故」を手がかりに(李 賢京)
【対談】人口減少時代における仏教の役割(櫻井義秀、袴田俊英)
おわりに(櫻井義秀)
執筆者一覧
【付録】幸福感に関する調査とデータ(清水香基)〔横組〕