内容紹介
19~20世紀の北東アジアは、ロシア(ソ連)、清(中国)、日本という3つの帝国が勢力圏を交錯させていた、世界でもまれな地域であった。本書は、これを地域社会の視点から描くことにより、満洲・朝鮮・樺太・台湾に関する新しい地域史像を提示している。
著者からのコメント
近年、「帝国日本」あるいは「日本帝国」という用語を冠した著書・論文が多数刊行されるようになった。しかし、1960年代・70年代に盛んに行われた日本帝国主義研究と何が変わったのか、何が新しいのかが曖昧なまま、言葉の選択が帝国主義から帝国に転換したかのように思われる。本書の執筆メンバーは、全員ある時期に札幌で活動していた、という共通点を持つ。科研の共同研究を通して、共同調査を経験し、研究会を積み重ねてきた。そして、各執筆者が専門とする地域の分析を深めるとともに、北東アジアの歴史的な特質とは何か、帝国とは何かをそれぞれが考え、その結果が本書に結実している。日本における帝国史研究の一つの到達点として、多くの読者の目に触れることを期待したい。
外部リンク
〔出版社〕北海道大学出版会の紹介ページ