内容紹介
経済システムの崩壊とハイパーインフレを緊急に克服するという意味では、ネオリベラリズムは一部の地域、特に南米と東欧で一定の成功を示した。しかし、その重篤な副作用としての格差の拡大固定、民主主義の形骸化や人間的な社会関係の喪失は、強く批判されている。ネオリベラリズムとは世界史にとって何だったのか。現場から検証する。
著者からのコメント
編者は京都大学の村上勇介先生と2008年以来、歴史的経緯や置かれている環境が比較的に近い東欧とラテンアメリカを比較するという地域間比較のプロジェクトを実施してきましたが、現在ではこの企画は南欧や東アジアを比較の対象に含めた「新興民主主義国の経済政策比較」という形で継続されています。本書はその最初の成果となるもので、今後より本格的な地域間比較を行うための基礎となる論文集です。国・地域による違いはもちろんあるものの、どの国・地域もグローバル化した「ネオリベラル的」な経済への対処を迫られているという点では共通しており、地域を超えた比較を通して確認できる論点も数多くあります。この本を通して、異なる地域を比較することの面白さを感じていただければ幸いです。
外部リンク
〔出版社〕京都大学学術出版会の紹介ページ