2017.01.10

十九世紀フランス哲学

著者名:
フェリックス・ラヴェッソン (著)
杉山 直樹 /村松 正隆 (訳)
文学院・文学研究院教員:
村松 正隆 むらまつ まさたか 教員ページ

内容紹介

19世紀フランスの哲学者、フェリックス・ラヴェッソンが、1867年のパリ万博(ちなみに日本が初めて参加した万博です)を機会に、当時のフランスの哲学の現状をまとめたものです。狭義の哲学のみならず、社会思想、美学、さらには当時の生理学の状況なども扱っており、19世紀フランスに関心を持つ人には、必ずや何らかの形で役に立つ書籍です。

著者からのコメント

 19世紀フランスの哲学者、フェリックス・ラヴェッソンが、1867年のパリ万博(ちなみに日本が初めて参加した万博です)を機会に、当時のフランスの哲学の現状をまとめたものです。もっとも、客観的な報告とは言い難く、当時のフランス思潮をすべて、何らかの形で、ラヴェッソンが称揚する「スピリチュアリスム」に向かうもの、として描きだす、見方によっては大変「強引な」書物とも言えます。しかし、この書物は大きな影響を与えることとなり、フランスで哲学を学ぶ学生にとり、必読書となりました。ラヴェッソンの思考のスタイルや、哲学史の見方は、その後のフランス哲学を大きく規定した、と言っても過言ではありません。
 
 この書物は、19世紀以降のフランス哲学の展開や方向性を知る上で必読書と言えます。また、当時の学問全体の方向性を知るという上でも極めて有益な書物と言えるでしょう。また、上で述べた、ラヴェッソンの「バイアス」を念頭に入れつつ読むのであれば、相当の情報を与えてくれる書物でもあります。

ISBN: 9784862852472
発行日: 2017.01.10
体裁: A5版・426ページ
定価: 本体価格 6,500円
出版社: 知泉書館
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

I 哲学の起源からエクレクティスムまで
II クーザンとエクレクティスム学派
III ラムネー
IV 社会主義(1)
V 社会主義(2)
VI 骨相学
VII 実証主義(1)――前期コント哲学
VIII 実証主義(2)――イギリスでの展開
IX 実証主義(3)――後期コント哲学
X リトレ
XI テーヌ
XII ルナン
XIII ルヌーヴィエの「批判主義」
XIV ヴァシュロ
XV クロード・ベルナール
XVI グラトリ
XVII 宗教哲学
XVIII 存在論主義
XIX ストラダ
XX マジ
XXI 物理学の形而上学
XXII 心理学
XXIII アニミスム論争
XXIV 唯物論
XXV ヴュルピアン
XXVI 脳生理学,神経学
XXVII 本能
XXVIII 睡眠と夢
XXIX 精神異常
XXX 狂気
XXXI 表情と言語
XXXII クルノー
XXXIII デュアメル
XXXIV 道徳論
XXXV 美学
XXXVI 結論――精神の肯定,スピリチュアリスム的実在論の到来