2016.12.30

ジェンダー史とは何か

著者名:
ソニア・O・ローズ(著)
長谷川貴彦、兼子歩(訳)
文学院・文学研究院教員:
長谷川 貴彦 はせがわ たかひこ 教員ページ

内容紹介

フェミニズム運動を淵源の一つとするジェンダー史は、単なる「女性の歴史」を超えて、既存の歴史学に新たな視点と刺激を提供し続けてきた。変容する「男らしさ」と権力の関係、奴隷制や近代国民国家の形成とジェンダーの関わりなど、対象領域を拡張し、今や言語論的転回以後の歴史学をも展望しうる分野に発展している。ジェンダー史の変遷を知るとともに、歴史学を捉え直す視点を獲得できる刺激的な入門書。

著者からのコメント

著者のソニア・ローズ氏にお目にかかったのは、歴史家エリック・ホブズボームを追悼する学会が、2014年5月にロンドン大学バークベック校を中心に開催されたときのことだった。学会初日の懇親会の席上、フェミニストの歴史家たちがかつてのフェミニズムの街頭運動の常套手段だった「シットイン」と称して、立食会場で座り込みながら語り合っていた、その集団のなかにローズ氏がいたのである。日本語での翻訳が進行中だと告げると、たいそう喜んでくれて、訳業への支援を惜しまないと申し出てくださり、こちらも早めの刊行を約束して帰ってきた。ローズ氏とのロンドンでの約束を果たし、日本の読者に本書を届けることができることに今はただ安堵している。学部学生や他分野の研究者など多くの人びとに手にとっていただき、ジェンダー史を通じた現代歴史学の醍醐味の一端を味わっていただけたら幸いである。

ISBN: 9784588350085
発行日: 2016.12.30
体裁: B6判 209ページ
定価: 本体価格3,200円+税
出版社: 法政大学出版局
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

目次
第1章 なぜジェンダー史なのか?
第2章 身体とセクシュアリティ
第3章 人種・階級・ジェンダー
第4章 男性と男らしさ
第5章 政治文化のジェンダー史に向けて
第6章 「転回」以降の新潮流