内容紹介
13世紀、チンギス家の下にユーラシア大陸を席捲したモンゴル帝国。現在の中国からイラン、中央アジア、ロシアにまで拡大し、各地の民族・言語・宗教を包摂してグローバル化の先駆をなした史上最大の陸上帝国の実態とはいかなるものだったのか? ペルシア語史書『集史』から最新の古気候データに至る各史・試料を踏まえ、統一期から分裂をへて終焉を迎えるまでを、〈移動〉と〈環境〉を軸に「複眼の思考」で読み解く新研究。
著者からのコメント
「あとがき」にて詳しく書きましたが、この本は2020年の第1学期、つまりコロナ禍で対面授業がままならなかったあの時期に、全学教育科目「ユーラシア史のなかのモンゴル帝国」の枠内で、学生さんたちとの文通のなかで完成させたものです。その意味で、私だけではなく、あの講義に出てくれた40名ほどの方々全員がこの本の著者ということになります。しかしその後に紆余曲折を経て、刊行までには随分と時間がかかってしまいました。出席者の多くは当時1年生であったわけですが、すでに5年が経ち、学部をそのまま卒業された方も多いでしょうから、少なからぬ方々がもうこの大学にはいないのではないかと思います。今となっては刊行の報告を伝えることすら容易ではないわけですが、こうした場を通じて、1人でも多くの著者にこの本が届いて欲しいと願っています。あの夏に完成したものと内容はかなり変わってはいるのですが、あの時の熱がこの本を形作っています。
翻って在学生の皆さん、上記のようにこの本は、当時の学部生の皆さんと完成させたものです。皆さんの知的生産の力はこれほどのものです。「これほど」がどれほどのものなのか、ぜひこの本の頁を繰って確認していただければと思います。皆さんとの次の機会を楽しみにしています。
外部リンク
【出版社】みすず書房の紹介ページ