2025.10.10

ユーラシア史のなかのモンゴル帝国

著者名:
諫早庸一 著
文学院・文学研究院教員:
諫早 庸一 いさはや よういち 教員ページ

内容紹介

13世紀、チンギス家の下にユーラシア大陸を席捲したモンゴル帝国。現在の中国からイラン、中央アジア、ロシアにまで拡大し、各地の民族・言語・宗教を包摂してグローバル化の先駆をなした史上最大の陸上帝国の実態とはいかなるものだったのか? ペルシア語史書『集史』から最新の古気候データに至る各史・試料を踏まえ、統一期から分裂をへて終焉を迎えるまでを、〈移動〉と〈環境〉を軸に「複眼の思考」で読み解く新研究。

著者からのコメント

「あとがき」にて詳しく書きましたが、この本は2020年の第1学期、つまりコロナ禍で対面授業がままならなかったあの時期に、全学教育科目「ユーラシア史のなかのモンゴル帝国」の枠内で、学生さんたちとの文通のなかで完成させたものです。その意味で、私だけではなく、あの講義に出てくれた40名ほどの方々全員がこの本の著者ということになります。しかしその後に紆余曲折を経て、刊行までには随分と時間がかかってしまいました。出席者の多くは当時1年生であったわけですが、すでに5年が経ち、学部をそのまま卒業された方も多いでしょうから、少なからぬ方々がもうこの大学にはいないのではないかと思います。今となっては刊行の報告を伝えることすら容易ではないわけですが、こうした場を通じて、1人でも多くの著者にこの本が届いて欲しいと願っています。あの夏に完成したものと内容はかなり変わってはいるのですが、あの時の熱がこの本を形作っています。

翻って在学生の皆さん、上記のようにこの本は、当時の学部生の皆さんと完成させたものです。皆さんの知的生産の力はこれほどのものです。「これほど」がどれほどのものなのか、ぜひこの本の頁を繰って確認していただければと思います。皆さんとの次の機会を楽しみにしています。

ISBN: 9784622095682
発行日: 2025.10.10
体裁: 四六判・464ページ
定価: 本体価格4,300円+税
出版社: みすず書房
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

序章 世界史の交差点
第1章 グローバル・ヒストリーとモンゴル帝国
第2章 帝国を語る史料――ペルシア語とモンゴル帝国

 

第一部 歴史篇
第3章 モンゴル帝国以前の中央ユーラシア史
第4章 チンギス・ハンとその後継者たち
第5章 中国史におけるモンゴル時代
第6章 イラン史におけるモンゴル時代
第7章 ロシア史におけるモンゴル時代
第8章 中央アジア史におけるモンゴル時代

 

第二部 史料篇
第9章 西方からの眼
第10章 改宗――フレグ・ウルスとジョチ・ウルスの場合
第11章 天文学――もうひとつの「天文対話」
第12章 ラシード・アッ゠ディーンとマルコ・ポーロ――彼らが見た中国

 

第三部 ユーラシア篇
第13章 パクス・モンゴリカ--〈換算〉する帝国
第14章 ユーラシア・パンデミック
終章 モンゴル時代の終焉――〈奇妙な並行〉