内容紹介
中身は新潮選書の『謎ときエドガー・アラン・ポー』とだいたい同じですが、この英語版は学術書なので注が多く、読みやすさよりも議論の精密さを優先しています――と言えば格好のつけすぎで、ようするに、ねちねち度が増していて、あまり面白くない(笑)想定読者は研究者や院生を主とするアカデミックな、すなわち我慢強い、読者層です。日米の出版社で権利の調整をするのは本当に大変な作業でしたが、今ではよい思い出です。
著者からのコメント
2019年、私のハックルベリー・フィン論が、アメリカのとある文学賞の受賞を逃したとき、記者さんたちから「次の本はいつ出ますか?」と問われました。その時すでに、このポー論の構想が頭にあったので、「あと3年ぐらいですかね」と答えたのですが、甘すぎる見通しで、もう6年経ってしまいました。とかく人生は計画通りにいきません。「狙うな!狙うから外れるんだ」と弓聖・阿波研造は言いました。少なくとも、もうこの時点でこの本は狙い通りに進んでいないので、ならばかえってよいのかも、と期待しています。