内容紹介
芸術作品の鑑賞はどのような環境で行われるのが望ましいだろうか。
作品にじっくりと向き合い、それを味わったり理解したりするための〈沈黙〉や〈静粛〉を伴う環境か。
それとも、〈語らい〉や〈対話〉を伴いながら、隣にいる人たちとのコミュニケーションを含めて作品を楽しむのがよいのか。
本書では、こうした素朴な疑問を足掛かりとしながら、「お静かに!」の背後にひろがる諸問題について考えていく。
著者からのコメント
美術館における声と沈黙は、15年ほど前、美術館に勤めていた頃から気にかかっていた問題です。自分にとって長い間の懸案だったこの問題に、今回、真っ向から取り組むことができました。
本書の出発点は、ミュージアムにおけるマナーの問題です。しかし、議論はやがて、マナーやルールといった問題を超えて、美術館の制度や思想、鑑賞の理想や芸術作品のあり方といった大きな論点にもひろがっていきます。「お静かに!」問題からみえてくる、ある種の美術館論、芸術論と言ってもよいかもしれません。
なお、本書と同時に書き進めてきた、この本の「きょうだい」と呼べそうな単著も、2025年度の刊行を目指して準備中です(と、あえて公言することで、締め切りに向けて自分を追い込むスタイルです…)。無事に刊行されたあかつきには、そちらもあわせてご一読いただけますと幸いです。
<刊行後の反響>
書評
- 2025年1月11日、『日本経済新聞』、朝刊、沈黙も対話も 根源的欲求
- 2025年1月18日、『信濃毎日新聞』、「場」のあり方 規定するべきか 評者・武田砂鉄氏
- 2025年1月26日、『読売新聞』、朝刊、ミュージアムの声と沈黙をめぐって
- 『中央公論』2025年3月号「新刊この一冊」評者・三浦篤氏
外部リンク
〔出版社〕文学通信の紹介ページ