内容紹介
「結婚」とは何か。山形県のムカサリ絵馬供養、青森県の花嫁人形奉納、沖縄のグソー・ヌ・ニービチ、韓国や中国・台湾の死霊婚など、死者に対する結婚儀礼の種々の類型を事例に、その社会構造や文化動態の観点から考察する。現代日本における結婚の動態と少子化対策の限界などを展望する補論も追加している。
著者からのコメント
本書『死者の結婚―慰霊のフォークロア』は、『死者の結婚-祖先崇拝とシャーマニズム』(北海道大学出版会、二〇一〇年)に「人口減少社会の希望としての結婚」の一章分を補論として追加した新装版である。
旧本は数年前に八〇〇部を売り切って品切れ・絶版になっており、古書としても流通していない。そのために、山形県のムカサリ絵馬供養、青森県の花嫁人形奉納、沖縄のグソーヌ・ニービチ、および韓国の死霊婚や中国・台湾・香港などの華人社会における死霊婚との比較などに関心のある方々にとって本書は入手しがたい本となっていた。このたび、法藏館文庫のラインナップに加えてもらえることで、冥婚習俗のみならず、日本や東アジアの宗教文化に関心がある方々の期待に添えるのではないかと喜んでいる。
原書を執筆した二〇〇〇年代後半、私は四〇代後半であり、職場の管理運営的な仕事も行っていたために調査研究に時間を捻出することができず、それまでの調査資料をその時点なりに精一杯まとめていた。祖先崇拝とシャーマニズムという宗教文化の基底とそこに響いていた人々のこころをすくいあげることが、私の宗教研究の原点だった。良くも悪くも私の研究の視点と方法が明確に出ている。そのこともあって原著の部分は改稿せず、補論とまえがきを付けて再びこの書を世に送り出した。
外部リンク
〔出版社〕法藏館の紹介ページ
〔Web書香の森〕『死者の結婚-祖先崇拝とシャーマニズム』の紹介ページ