内容紹介
印象的な顔の人がいた。みなに愛され、顔の画像がネットに溢れた。ところが自撮りを繰り返すうち、顔は輪郭を失ってしまう。意を決した主人公はある行動に出るが…。はたしてかれは、新鮮なじぶんの顔をとりもどすことができるだろうか。特別な存在として、ふたたび輝くことができるだろうか。『迷子の魂』につづくコンセホとの共作で、美しい造本が魅力のひとつ。ソーシャルメディア時代にわたしは「わたし」とどう向きあうかを問う、現代のおとぎ話。
著者からのコメント
本書がSNSの弊害を語っていることはたしかですが、その眼目はコマーシャリズムやテクノロジーへの疑念にのみあるわけではありません。執筆の根底には、トカルチュクがたえず関心を抱いてきた人間のアイデンティティ(「わたしはわたしである」)について、存在や経験の一回性について、またそれらをいかに語るかという、作家ならでは問題意識があるようです。投げ込みの解説に作家・画家インタビューも引用しておりますので、あわせてご覧のうえ、ぜひ「じぶん」と向き合うきっかけにしていただきたいです。
外部リンク
〔出版社〕岩波書店の紹介ページ