2024.6.17

ゲルトクルマイヒ 
ジャンヌダルク

預言者・戦士・聖女
著者名:
加藤玄 監訳 小林繁子・安酸香織・西山暁義 訳
文学院・文学研究院教員:
安酸 香織 やすかた かおり 教員ページ

内容紹介

 重要なのは、ジャンヌ・ダルクを「脱神話化」すること、つまり彼女を依然として取り巻く勝手な推測や仮説から可能なかぎり解き放つことである。本書は、600年に及ぶ研究史のあり方をふまえ、ジャンヌ・ダルクを彼女の時代の最良の史料によってのみ語り、歴史家としてジャンヌ・ダルクの生涯、活動、その時代に接近する試みである。

著者からのコメント

 本書の著者ゲルト・クルマイヒは、第一次世界大戦を中心的な研究テーマとする西洋近現代史の歴史家であるが、教授資格請求論文ではジャンヌ・ダルク没後の記憶をめぐる問題を扱い、その後も両分野について数々の成果を発表してきた。本書は後者について2021年に刊行されたドイツ語の著作を、約3年間かけて全訳したものである。
 わが国においてフランス中世史のドイツ語文献を邦訳するのは容易ではなく、両言語に対応可能だが専門の異なる三名(西山、小林、安酸)が約100頁ずつ翻訳し、当該分野を専門とする監訳者(加藤)の指摘や助言を反映することにより形にしていった。
 本書の特徴は、訳者あとがきにあるように、「ジャンヌ・ダルク研究におけるドイツ語史料・文献の重要性とドイツ人研究者の貢献の指摘」、「方法論的堅実さ」、「戦争指導者(隊長)としてのジャンヌ性格に光を当てている」ことにある。ぜひ多くの方に手に取っていただき、「脱神話化」されたジャンヌ・ダルクの姿を見てもらいたい。

ISBN: 9784622097099
発行日: 2024.6.17
体裁: 四六判・408ページ
定価: 本体価格5,200円+税
出版社: みすず書房
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第1章  戦時における幼少期
第2章  ヴォークルールからシノン、ポワティエへ
第3章  オルレアンの解放
第4章  ジャンヌ、司令官になる
第5章  ロワールでの作戦行動
第6章  ランスでの国王戴冠
第7章  下り坂――ランスからパリへ
第8章  パリ‐コンピエーニュ――敗北と捕縛
第9章  囚われたジャンヌ
第10章 ルーアンの異端審問裁判
第11章 復権裁判 1450-1456年
第12章 記憶の中で生き続けること