内容紹介
オットー1世の皇帝戴冠(962年)を起源とする神聖ローマ帝国は、ドイツを中心に周辺へと領域を広げた。皇帝位は一四三八年以降、ハプスブルク家がほぼ独占。16世紀に最盛期を迎える。宗教改革、三十年戦争といった混乱を経て帝国は衰退し、1806年に消滅した。弱体に見える国家が850年も存続したのはなぜか。叙任権闘争など、皇帝と教皇の関係はいかなる推移をたどったのか。捉えにくい「大国」の実像に迫る。
著者からのコメント
神聖ローマ帝国というと、ローマ帝国のことですか、どこの地域にあったのですかとよく聞かれます。中世から近世のドイツにあった国だと説明すると、ハプスブルク家やプロイセンとは、どのような関係にあったのですかと質問されることが多くあります。
皇帝、国王、選帝侯、諸侯あるいは司教や騎士など、いろいろな身分の人が登場し、また金印勅書や帝国議会など、さまざまな法令や機関が登場するので、複雑に見えるのは確かです。しかし現在の国民国家や主権国家が誕生する前、10世から19世紀まで、神聖ローマ帝国は存在しました。
一体なぜこれほど長く続いたのか。そもそも神聖ローマ帝国とは何なのか。こんな問いに答えるために、この本を書きました。
多くの皆さんに読んでいただけると幸いです。
外部リンク
〔出版社〕中公新書の紹介ページ