2022.05.30

ロシア文学からの

交錯する人と言葉
著者名:
中村 唯史、坂庭 淳史、小椋 彩 編著
文学院・文学研究院教員:
小椋 彩 おぐら ひかる 教員ページ

内容紹介

総勢70名が最新の研究に基づき執筆した、ロシア文学の入門書。本書の扱う対象の時間的・空間的・言語的範囲について解説する「序」、作家とその代表作を紹介する「第Ⅰ部」、ロシア文学と隣接領域(思想や批評、他の芸術ジャンル、他国語文学など)とのかかわりについて横断的に検討する「第Ⅱ部」からなる。セクションごとに掲げられた「イントロダクション」とあわせて読むことで、歴史的文脈に沿った文学の道行が浮かびあがるだろう。

著者からのコメント

時代別の作品紹介とはべつに、「ロシアの詩」に関するセクションを設けているのが特徴的です。古来、ロシアの文学の礎であったロシア詩の、形式的特性や伝統、主要な詩人、潮流や流派を、有名な詩文の翻訳もまじえてわかりやすくまとめたこのセクションで、そのおもしろさに出会ってください。また各項目の冒頭には、テクストをより身近に感じてほしいという願いから、作品及び事象を読み解く鍵となる箇所のロシア語原文と訳を掲載しています。

文化事典として活用できるよう、クロスレファレンスや、索引も充実させています。これをたどると、一作品が、べつの人や作品といくつも繋がりあうことが実感されるでしょう。繋がりは「ロシア」や「文学」の内にとどまらず、言葉や国の枠を超え、受容され、あらたな意味を得て、世界へ、べつの時代へ、状況へとひらかれています。本書のタイトルには、文学の自由で伸びやかなコミュニケーションの豊穣さが込められています。

こうした本書のコンセプトは、2年半もの作業を通じてしだいに明確化していきましたが、編集作業の最終局面、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻という深刻な事態を受けても、この編集方針に変更の必要性はいっさい感じられませんでした。まさにこれまで、じつに多くのロシアの文学作品が、理不尽な支配や、暴力や、抑圧に抗いながらたどってきた豊かで創造的な軌跡を、ぜひ本書によってたしかめてください。

ISBN: 9784623094004
発行日: 2022.05.30
体裁: B5判・256ページ
定価: 本体価格2,800円+税
出版社: ミネルヴァ書房
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

はじめに
地図

第Ⅰ部 テクスト──ロシア文学の作家と作品
A 中世文学
B 19世紀の文学
C 20世紀の文学
D 現代の文学
E ロシアの詩
第Ⅱ部 コンテクスト──ロシア文学とその周辺
A ロシアの思想・批評
B ロシアの心象地理
C ロシア文学の周辺
D 世界の中のロシア文学
読書案内