内容紹介
コペルニクスが太陽系のモデルを示して宇宙の秘密の一端を明らかにしたその年に、イタリアの解剖学者ヴェサリウスが世界最初の解剖図を出版した。天体と人体、ふたつの「体」をめぐって始まった探求の旅を契機にして、「旅」にまつわる116の断章でつづる実験的長編小説。
著者からのコメント
断片的挿話を集めた異色の長編小説『逃亡派』を、トカルチュク本人は「コンステレーション・ノベル(星座小説)」と呼びました。ここにあるのは、非線状的な文体のなかで星のように偶発的に出現する個々のモチーフが、線のようにつながって、物語をなすイメージです。作家はこうした断片的な文体が、暴力的な歴史の力に翻弄されてきた中欧の文学にこそふさわしいとも述べました。
おなじ断片形式の小説『昼の家、夜の家』とあわせて、中欧文学独自の世界観を体験していただきたいです。
外部リンク
〔出版社〕白水社の紹介ページ