2010.10.01

昼の家、夜の

著者名:
オルガ・トカルチュク 著、小椋 彩 訳
文学院・文学研究院教員:
小椋 彩 おぐら ひかる 教員ページ

内容紹介

チェコとの国境に程近い、ポーランド南西部の小さな町ノヴァ・ルダに移り住んだ作家らしき語り手が、隣人たちと交わす何気ない会話や日常の風景、だれかの回想、夢、地元に伝わる神話や伝説を通して、土地の来歴を知り、人生の謎や神秘に触れる。

「土地」を共通モチーフにした断片的挿話がゆるやかにつながり、読者に自由な想像をうながす、詩的で不思議な本。

著者からのコメント

2018年度ノーベル文学賞を受賞したオルガ・トカルチュクの、1998年出版の長編第4作。小説舞台であるシロンスク地方は、国境線の移動によってしばしば帰属を変更させられてきました。それは、列強支配に翻弄され、地図上で形を変え続けてきたポーランドという国の縮図でもあります。本小説は、「ポーランドの国境問題」というきわめて政治的かつ歴史的問題を扱う一方で、国境のみならず万物の流動的なあり方に対する、哲学的な気づきへと、読者を導いてくれているようです。

この作家をぜひ日本に紹介したいと思うようになった、訳者の私にとっても、とても思い入れのある作品です。

ISBN: 9784560090121
発行日: 2010.10.01
体裁: 四六判・380ページ
定価: 本体価格2,900円+税
出版社: 白水社
本文言語: 日本語