内容紹介
現代歴史学の様々な「転回」を踏まえて、グローバル・ヒストリー・ブームを批判的に検証しつつ、歴史叙述の在り方を根本から問い直す。『思想』2018年第3号の特集に、デヴィド・アーミテイジ、リンダ・コリーの新訳、そして井野瀬久美惠・川島啓一の対談を増補して、研究者や歴史教育者にとどまらず歴史学の到達点を知りたい全ての人へ届ける。
著者からのコメント
21世紀はじめのいま、世界史がひとつの焦点をなしている。これは、経済のグローバル化に対応して、世界各地の文化や歴史への理解が吃緊の課題となっているからであろう。ことは日本の現象にとどまらず、世界的に見られる動きとなり、同時に歴史学というアカデミズムの枠を超えて、各界で世界史が大きな話題となっている。—
歴史学もまた、歴史と人間の関係の大きな変化が実感されるなか、大きく変わりつつある。歴史認識の局面におけるグローバル化――グローバリゼーションとして喧伝されている事態の現れということであろう。—
かくように、歴史と歴史学があらためて再考されており、その動きは、歴史学の状況を問い、歴史学の改変を促すとともに、ビジネスの世界の関心を呼び起こし、歴史教育の領域の動きとも共振している。さきの『思想』特集からさらに増補をした本書を、ぜひ手に取っていただければと思う。(「まえがき」より)
外部リンク
〔出版社〕岩波書店の紹介ページ