2020.02.18

〈世界史〉をいかに語るか

グローバル時代の歴史像
著者名:
成田 龍一 、長谷川 貴彦(編)
文学院・文学研究院教員:
長谷川 貴彦 はせがわ たかひこ 教員ページ

内容紹介

現代歴史学の様々な「転回」を踏まえて、グローバル・ヒストリー・ブームを批判的に検証しつつ、歴史叙述の在り方を根本から問い直す。『思想』2018年第3号の特集に、デヴィド・アーミテイジ、リンダ・コリーの新訳、そして井野瀬久美惠・川島啓一の対談を増補して、研究者や歴史教育者にとどまらず歴史学の到達点を知りたい全ての人へ届ける。

著者からのコメント

21世紀はじめのいま、世界史がひとつの焦点をなしている。これは、経済のグローバル化に対応して、世界各地の文化や歴史への理解が吃緊の課題となっているからであろう。ことは日本の現象にとどまらず、世界的に見られる動きとなり、同時に歴史学というアカデミズムの枠を超えて、各界で世界史が大きな話題となっている。—

歴史学もまた、歴史と人間の関係の大きな変化が実感されるなか、大きく変わりつつある。歴史認識の局面におけるグローバル化――グローバリゼーションとして喧伝されている事態の現れということであろう。—

かくように、歴史と歴史学があらためて再考されており、その動きは、歴史学の状況を問い、歴史学の改変を促すとともに、ビジネスの世界の関心を呼び起こし、歴史教育の領域の動きとも共振している。さきの『思想』特集からさらに増補をした本書を、ぜひ手に取っていただければと思う。(「まえがき」より)

ISBN: 9784000613897
発行日: 2020.02.18
体裁: A5判・230ページ
定価: 本体価格2,900円+税
出版社: 岩波書店
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

まえがき
歴史に対する主権 (岡本充弘)
〈鼎談〉
「世界史」をどう語るか (小川幸司・成田龍一・長谷川貴彦)
グローバル・ヒストリーの可能性と問題点――大きな歴史のあり方(岡本充弘)
物語論的転回2.0――歴史学におけるスケールの問題(長谷川貴彦)
転回するグローバル・ターン(キャロル・グラック(訳=梅﨑 透))
グローバル・ヒストリー論と「カリフォルニア学派」(岸本美緒)
綿と資本主義のグローバルな起源(スヴェン・ベッカート(訳=竹田泉、解題=岡本充弘))
気候と資本――結合する複数の歴史(ディペシュ・チャクラバルティ(訳=坂本邦暢、解題=岡本充弘))
〈書評〉
誰のために歴史を書くのか――ゼバスティアン・コンラート『グローバル・ヒストリーとはなにか?』(小田原琳)
〈対談〉
「世界史」をどう教える/学ぶか――歴史教育とジェンダー史の視点を中心に(井野瀬久美惠・川島啓一)
イギリスとイスラーム 一六〇〇‐一八〇〇年――差異に関する多様な視座(リンダ・コリー(訳・解題=長谷川貴彦))
コスモポリタニズムと内戦(デイヴィッド・アーミテイジ(訳・解題=石川敬史))