内容紹介
日記や手紙、回想録など、一人称で綴られた史料への関心やその扱い方は、フェミニズムや現代思想、文学理論等の影響を受けながら大きく変容を遂げてきた。魔女裁判の告白書、遊女の日記、前線兵士の手紙など……多彩なエゴ・ドキュメントを専門家たちが新たな文脈で読み解く。理論と実践を総合した本格的な共同研究。史料論、歴史学の方法論としても必携の1冊。
著者からのコメント
言語論的転回以降の理論的な地平を踏まえて、歴史学の本分でもある実証主義的な姿勢を貫くにはどうしたらよいのか。とかく矛盾・対立するものとして語られがちな歴史学における理論と実証の問題について思案していたときに出会ったのが、エゴ・ドキュメントをめぐる研究の潮流であった。実際、エゴ・ドキュメント研究とは歴史理論の省察であると同時に、具体的な史料を用いた歴史実践でもある。個々の論文は読み物としても興味深いものがあり、多くの読者を得られることを期待している。
外部リンク
〔出版社〕岩波書店の紹介ページ