内容紹介
20世紀後半の哲学界にあって、実存哲学や精神分析・構造主義や分析哲学との幅広い思想的交渉を保ちつつ、他に類をみない独自の地歩を築いたポール・リクール。彼が残した膨大な仕事をテーマごとに掘り下げ、その驚くべき多面性を一望のもとに概観する。
著者からのコメント
リクールは、間違いなく20世紀を代表するフランスの哲学者ですが、日本では、フーコーやデリダ、ドゥルーズといったいわゆるポストモダンの思想家たちの陰に隠れた観があります。その理由は、リクールの思想が、私たちにとってあまり身近ではないキリスト教(神学)や聖書解釈(学)などと密接な関連をもっているからです。それに対して、キリスト教が自らの宗教である西洋社会においては、ポストモダンの思想家たちのもつある種の過激さとは無縁だったリクールの地道な仕事が、近年むしろ評価が高まってきていると言えるでしょう。西洋の哲学を本当の意味で咀嚼し、われわれ自身にとっても何がしか役立つものとしていくために、リクールの思想的営為全体をあらためて捉え直していく作業が必要です。
外部リンク
〔出版社〕法政大学出版局の紹介ページ