内容紹介
注意は人間の認知システムにとって重要な基本機能です。注意はとらえどころのない概念とも言える上、研究の歴史も長いので、全体像を知ることに及び腰になっている方も居られるかもしれません。本書は注意とは何かについて明確に定義します。その上で、現象、メカニズムの両面から具体的な研究例を挙げながら論じます。
著者からのコメント
注意は複数の認知機能の総称です。そのため、これまでの研究史の中でさまざまな捉えられ方をしてきました。本書ではまず第1章で、著者の見解を示しました。第2章以降では、どんな場面でどんな注意の効果が見られるか、それはどのようなメカニズムで実現されているかをできるだけ詳しく解説しました。特に、どんな実験操作、独立・従属変数の設定でどういう結果が得られて、そこから何が結論されたかを具体的に示しました。こうすることで新たにこの分野に分け入る人の取っ掛かりが容易になればよいと思います。そうでない他分野の人でも、先人達の華麗な実験デザインを堪能できるでしょう。
本書は書き始めてから完成まで4年くらいかかりました。書いているうちに次々と新しい知見が蓄積され、内容の更新のために途方に暮れたこともありました。第1章では根本的な注意観を示していますので、新しい知見にも対応可能な基礎となるでしょう。本書で示したその基礎が全く通用しなくなった頃には、その世代の誰かがまた新たな本を書いてくれるでしょう。
外部リンク
〔出版社〕勁草書房の紹介ページ