内容紹介
高齢者が健康で社会的に積極的な生活を幸福感をもって送ることについて、東アジアやオーストラリアの事例を紹介するとともに、高齢者の宗教意識や嗜好・趣味、世代ごとの価値意識を調査して、現役を退いた人生の完成期であるサードエイジを生きるための条件を探る。
海外の事例調査と国内の社会意識調査を組み合わせた混合メソッドのアプローチを採用しており、社会学者、福祉研究者、医療従事者の共同研究になっている。
著者からのコメント
私は、この数年間、ウェルビーイングの研究を行い、特に宗教とウェルビーイングとの関係について考察を深めてきました(拙編著『ウェルビーイングの宗教社会学-しあわせの宗教社会学』北海道大学出版会、2019年、拙編著『ウェルビーイングの社会学』(北海道大学出版会、二〇二二年))。その後、保健医療・社会福祉領域の先生方とも臨床社会学的研究を進め(2019-2022年 基盤研究B「高齢多死社会日本におけるウェルビーイングとウェルダイングの臨床社会学的研究」(課題番号19H01554))、北海道大学の社会学研究室で学んだ方々にも協力をいただきました(2021-25年 挑戦的研究(萌芽)「アクティブな高齢者が活躍する東アジア諸国から日本社会のウェルビーイングを考える」)。こうした共同研究の成果をまとめるのに少し時間を取ってしまいましたが、ようやく一冊をまとめることができました。
本書は、第一部「東アジアのアクティブ・エイジング」として、日本・韓国・中国・香港・オーストラリアのアクティブエイジャーたちの活動を事例研究としてまとめております。私が北海道大学大学院で指導した大学院生の半数は留学生でした。章執筆をしてくれた方に加えて母国のタイで教職に就いた二人と日本在住の一人がいますが、今回の書籍には間に合いませんでした。第二部「日本のサードエイジャーにおける生きがいと生活」は、第一部に先立って行われた調査研究であり、科研費で実施したサードエイジャー対象のセカンドライフ調査をまとめるのに時間を要しました。しかしながら、北海道大学大学院文学研究院社会学研究室で指導したもう半分の日本人院生であった方々にご協力をいただき、分析結果をまとめることができました。付録とした調査データ「セカンドライフに関する生活意識調査報告書」と共に報告を活用してもらえるものと考えています。
外部リンク
〔出版社〕北海道大学出版会の紹介ページ