2025.4.25

アジアアクティブエイジング

サードエイジを生きる
著者名:
櫻井義秀・清水香基 編著
文学院・文学研究院教員:
伍 嘉誠 ご かせい 教員ページ
櫻井 義秀 さくらい よしひで 教員ページ
清水 香基(元教員) しみず こうき

内容紹介

高齢者が健康で社会的に積極的な生活を幸福感をもって送ることについて、東アジアやオーストラリアの事例を紹介するとともに、高齢者の宗教意識や嗜好・趣味、世代ごとの価値意識を調査して、現役を退いた人生の完成期であるサードエイジを生きるための条件を探る。
海外の事例調査と国内の社会意識調査を組み合わせた混合メソッドのアプローチを採用しており、社会学者、福祉研究者、医療従事者の共同研究になっている。

著者からのコメント

私は、この数年間、ウェルビーイングの研究を行い、特に宗教とウェルビーイングとの関係について考察を深めてきました(拙編著『ウェルビーイングの宗教社会学-しあわせの宗教社会学』北海道大学出版会、2019年、拙編著『ウェルビーイングの社会学』(北海道大学出版会、二〇二二年))。その後、保健医療・社会福祉領域の先生方とも臨床社会学的研究を進め(2019-2022年 基盤研究B「高齢多死社会日本におけるウェルビーイングとウェルダイングの臨床社会学的研究」(課題番号19H01554))、北海道大学の社会学研究室で学んだ方々にも協力をいただきました(2021-25年 挑戦的研究(萌芽)「アクティブな高齢者が活躍する東アジア諸国から日本社会のウェルビーイングを考える」)。こうした共同研究の成果をまとめるのに少し時間を取ってしまいましたが、ようやく一冊をまとめることができました。
本書は、第一部「東アジアのアクティブ・エイジング」として、日本・韓国・中国・香港・オーストラリアのアクティブエイジャーたちの活動を事例研究としてまとめております。私が北海道大学大学院で指導した大学院生の半数は留学生でした。章執筆をしてくれた方に加えて母国のタイで教職に就いた二人と日本在住の一人がいますが、今回の書籍には間に合いませんでした。第二部「日本のサードエイジャーにおける生きがいと生活」は、第一部に先立って行われた調査研究であり、科研費で実施したサードエイジャー対象のセカンドライフ調査をまとめるのに時間を要しました。しかしながら、北海道大学大学院文学研究院社会学研究室で指導したもう半分の日本人院生であった方々にご協力をいただき、分析結果をまとめることができました。付録とした調査データ「セカンドライフに関する生活意識調査報告書」と共に報告を活用してもらえるものと考えています。

 

ISBN: 9784832969056
発行日: 2025.4.25
体裁: A5判・332頁
定価: 本体価格 6200円+税
出版社: 北海道大学出版会
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

総論 サードエイジャーのウェルビーイング 櫻井義秀

 

〔第1部 東アジアのアクティブ・エイジング〕
第1章 旭川市 除雪支援を通じた高齢者のウェルビーイング 三田絵里加
第2章 大邸市 アクティブ・エイジングとソーシャル・キャピタル 金昌震
第3章 北京市 広場舞を通じた高齢者のウェルビーイング 郭莉莉
第4章 香港 社会運動参加と中高年者のウェルビーイング 伍嘉誠
第5章 オーストラリア 「男の小屋」を通じた高齢男性のウェルビーイング ダライブヤン・ビャムバジャワ 櫻井義秀訳

 

〔第2部 日本のサードエイジャーにおける生きがいと生活〕
第6章 調査の概要と主な知見 清水香基・櫻井義秀
第7章 高齢者の社会参加・余暇活動の個人化と主観的幸福感 工藤遥
第8章 サードエイジ期における高齢者の中間集団ネットワーク 遠山景広
第9章 定年期以降の人間関係:ジェンダー差と社会化の観点から 坂無淳
第10章 宗教意識とウェルビーイング 清水香基
特論 コロナ禍とウェルビーイング 櫻井義秀

 

付録 サードエイジャーのセカンドライフに関する生活意識調査 調査票と単純集計