内容紹介
ミステリ、ゲーム、映画、アニメ、マンガなどにおいて、第二次世界大戦や東日本大震災などの実際に起きた「危機」、あるいは物語上のクローズドサークルや世界の終わりなどの架空の「危機」はどう扱われたのか。また、そうした「危機」に対して、どのような想像力によって、応接しようとしたのか、あるいは応接できなかったのか。日本サブカルチャー史における、死と恐怖をめぐるジャンル横断的評論集。
著者からのコメント
日本において一九二〇年代に成立した「死」や「恐怖」を素材とするミステリは、二〇世紀以降の危機的事象(疫病、関東大震災、戦災、阪神淡路大震災、東日本大震災、原発事故…)をどのように受け止め応答しようとしたのかを究明する科研プロジェクト「日本近現代ミステリにおける危機表象の史的研究」(基盤研究C)の成果の公開。
二部構成とし、第一部は、ミステリにおける危機に対する想像力の諸相を通史的に探った。第二部は、ミステリに限定せず、ジャンル横断的に広く現代日本サブカルチャーにおける危機表象の諸問題を論じた。
過去の危機的事象との反映論的な視座だけでなく、ミステリ、マンガ、アニメ、映画といったそれぞれのメディア特性を生かした危機表象の固有性も追究したつもりである。
押野武志編著『日本サブカルチャーを読む―――銀河鉄道の夜からAKB48まで』(北海道大学出版会、二〇一五)の姉妹編。
「危機」という言葉が時代のキーワードになって久しい。ただ、「危機」をことさら煽ることなく、「危機」について冷静に思考し、来るべき「危機」に処するための手がかりに本書がなれれば本望である。
外部リンク
〔出版社〕北海道大学出版会の紹介ページ
〔試し読み〕北海道大学出版会note