2024.12.7

新版 東南アジア経済発展と世界金融危機

アジア通貨危機からコロナショックまで
著者名:
橋本雄一 著
文学院・文学研究院教員:
橋本 雄一 はしもと ゆういち 教員ページ

内容紹介

2005年に出版した『マレーシアの経済発展とアジア通貨危機』ではアジア通貨危機を,2014に出版した『東南アジアの経済発展と世界金融危機』では世界金融危機を論じました。本書は,これらにコロナショック(新型コロナ感染症拡大による経済危機)を加え,「経済災害」とでも呼ぶべき3度の経済的な危機を経験した東南アジアの動向を俯瞰し,その中で進む知識経済化の流れなどについて解説しました。

著者からのコメント

本書の狙いは,アジア通貨危機,世界金融危機,コロナショックを対象とし,経済学や政治学の研究者と議論を行うための共有すべき知識を提供することです。特に,その中でマネー経済の動向が実体経済に与えた影響を盛り込みたいと考えました。なお本書の内容は,アジア経済研究所が実施した1996年および1998年の国別通商政策研究事業と,2001年のアジア産業ネットワーク研究事業において筆者が行った研究成果を基礎とし,その後の調査結果を加えた28年間の研究成果です。
3~5章の内容は,東南アジアで発生した3度にわたる経済的な危機(「経済危機」とは異なり,経済的な危機は通貨危機,金融危機,経済危機の順番で深刻になります。)を解説しました。6章以降は,その中で行われた東南アジア諸国の回復政策に関するもので,一次産品産業,港湾インフラ整備,知識集約型産業の推進,知的財産権による成果の保護を解説しています。なお,2014年に出版した『東南アジアの経済発展と世界金融危機』の第8章は「知的クラスター形成」の章でしたが,より大きなスケールで「国としての知識経済化」の解説にしました。最後に第10章では,経済グローバル化の中で3つの経済的な危機を経験した東南アジアの経済変化を明らかにした上で,自然災害の概念を適用して結果の整理を行い,新しい経済的危機の視点を提案しました。(表紙のイメージはMS-06S,MS-06Fです。)

ISBN: 9784772253598
発行日: 2024.12.7
体裁: A5版・190ページ
定価: 本体価格3300円+税
出版社: 古今書院
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第1章 はじめに
第2章 マレー半島の歴史
第3章 アジア通貨危機の東南アジア経済への影響
第4章 世界金融危機の東南アジア経済への影響
第5章 コロナショックの東南アジア経済への影響
第6章 東南アジアにおける一次産品の生産と輸出
第7章 マレー半島における港湾整備と地域開発
第8章 東南アジアにおける知識経済化
第9章 知的財産権に関する制度整備と特許出願
第10章 おわりに