内容紹介
2022年に生誕100年、没後20年を迎えたフランスの哲学者、ミシェル・アンリ(1922~2002)の思想を紹介する本格的な論集です。〈私〉の存在の本質を、感情を感じうること、すなわち「情感性」に見出し、この一点を決して手放すことなく西洋哲学の様々な問題、現代文化の問題などを鋭く分析し、さらには興味深い芸術論をも展開したアンリの思想の全体像が把握できます。フランス思想に興味を持つ方には、必ずや役に立つでしょう。
著者からのコメント
〈私〉とはいかなるものか? 多くの哲学者がこの問いに答えてきましたが、ミシェル・アンリの出した答えはそれらのうちの最も優れたものの一つでしょう。自身があることを「苦しみ」と「歓び」との感情が一致する場で感じとること、それが「生」である、というのがアンリの出した答えでした。この論集はそうしたアンリの思想の根幹、哲学史観、身体論、文化論、芸術論、宗教論などを総合的に紹介する書物です。これまで十分に論じられてこなかったミシェル・アンリの小説(彼は四つの小説を執筆しています)をも紹介しているところも本書の特徴と言えるでしょう。また、ドゥルーズやデリダなど、同時代の哲学者との関りも丁寧に紹介していますので、20世紀後半のフランス思想の展開に、新たな観点から光を当てるものともなっています。
編集にも相当の力を入れましたので、三十人ほどの執筆者が参加していますが、一冊の書物としてのまとまりは得ているのではないかと自負しています。もちろんその当否は、この本を手に取ってくださる皆さんが判断なさるべきことですが。
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外部リンク
〔出版社〕法政大学出版局の紹介ページ