内容紹介
ウェルビーイング研究に対して宗教社会学的なアプローチを用い、主観的幸福感とウェルビーイングとの関連を考える。計量的研究と質的研究の双方から宗教とウェルビーイング研究の新境地を開拓し、社会調査の対象者になりにくい人々の現実と課題からしあわせの深奥に迫る。
著者からのコメント
本書は、研究グループ(日本学術振興会科学研究費 基盤研究B「人口減少社会日本における宗教とウェルビーイングの地域研究」(櫻井義秀代表 課題番号15H03160)二〇一五-一七年)による書籍である。
本書は三部構成になっており、第Ⅰ部で宗教とウェルビーイングの研究に関する理論的検討を行う。そのうえで第Ⅱ部では、宗教意識・行為と主観的幸福感の関連を総合的社会調査から明らかにし、第Ⅲ部では、事例研究の手法でウェルビーイングに寄与する宗教の実態を描き出している。
第Ⅱ部「宗教とウェルビーイングの計量社会学」は、アジアとヨーロッパ、および日本における総合的社会調査のデータ分析を通して宗教とウェルビーイングの関連を統計分析から検討する本書のハイライトである。これらの計量分析で扱うウェルビーイング指標は主観的幸福感であり、日常生活において感じられている感情と人生に対する評価からなる。主観的幸福感に影響を与える個人的属性や社会的属性の中にあって、宗教意識や宗教行為の実践がどれほど主観的幸福感の増進に寄与しているのか。この問題を総合的社会調査で扱った研究としては、現代宗教社会学とウェルビーイング研究の領域においてフロンティアを開拓した研究であると自負している。
外部リンク
〔出版社〕北海道大学出版会の紹介ページ