2019.03.29

宗教とウェルビーイング

しあわせの宗教社会学
著者名:
櫻井義秀(編著)
文学院・文学研究院教員:
櫻井 義秀 さくらい よしひで 教員ページ

内容紹介

ウェルビーイング研究に対して宗教社会学的なアプローチを用い、主観的幸福感とウェルビーイングとの関連を考える。計量的研究と質的研究の双方から宗教とウェルビーイング研究の新境地を開拓し、社会調査の対象者になりにくい人々の現実と課題からしあわせの深奥に迫る。

著者からのコメント

本書は、研究グループ(日本学術振興会科学研究費 基盤研究B「人口減少社会日本における宗教とウェルビーイングの地域研究」(櫻井義秀代表 課題番号15H03160)二〇一五-一七年)による書籍である。

本書は三部構成になっており、第Ⅰ部で宗教とウェルビーイングの研究に関する理論的検討を行う。そのうえで第Ⅱ部では、宗教意識・行為と主観的幸福感の関連を総合的社会調査から明らかにし、第Ⅲ部では、事例研究の手法でウェルビーイングに寄与する宗教の実態を描き出している。

第Ⅱ部「宗教とウェルビーイングの計量社会学」は、アジアとヨーロッパ、および日本における総合的社会調査のデータ分析を通して宗教とウェルビーイングの関連を統計分析から検討する本書のハイライトである。これらの計量分析で扱うウェルビーイング指標は主観的幸福感であり、日常生活において感じられている感情と人生に対する評価からなる。主観的幸福感に影響を与える個人的属性や社会的属性の中にあって、宗教意識や宗教行為の実践がどれほど主観的幸福感の増進に寄与しているのか。この問題を総合的社会調査で扱った研究としては、現代宗教社会学とウェルビーイング研究の領域においてフロンティアを開拓した研究であると自負している。

ISBN: 9784832968509
発行日: 2019.03.29
体裁: A5判・438ページ
定価: 本体価格5,800円+税
出版社: 北海道大学出版会
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第Ⅰ部 宗教とウェルビーイングの基礎理論
第一章「しあわせとソーシャル・キャピタル」櫻井義秀
第二章「宗教とウェルビーイング」櫻井義秀
第三章「人間になる─自律の夢から覚める」寺戸淳子

第Ⅱ部 宗教とウェルビーイングの計量社会学
第四章「アジアにおける幸福と満足の文化─その理論的考察と方法論的検討」真鍋一史
第五章「宗教的な人々はより幸せか?―ヨーロッパ社会調査からの知見」ウォルフガング・ヤゴチンスキー
第六章「日本の宗教とウェルビーイング」櫻井義秀と清水香基

第Ⅲ部 宗教と女性・高齢者・移民のウェルビーイング
第七章「水子供養は何を癒すのか」猪瀬優理
第八章「高齢女性の主観的ウェルビーイングと装い─人生の危機と自己の再帰的確認」片桐資津子
第九章「限界集落における祭礼の維持がコミュニティ持続に及ぼす影響─旧仁淀村別枝地区の単身帰郷者に着目して」冬月律
第十章「現代農村の信仰継承─日本基督教団丹波新生教会のウェルビーイング」川又俊則
第十一章「多文化化する韓国社会と移民の社会的包摂─キリスト教団体の社会支援」李賢京