内容紹介
原作のある映画は、オリジナルに対する第二次的な創作であるはずだが、にもかかわらず、かけがえのない固有性をもって観客に迫る。1950年代から現代に至る日本映画の中から、『雨月物語』『近松物語』『雪国』『夫婦善哉』『山びこ学校』『夜の鼓』『或る女』『心中天網島』『南京の基督』『薬指の標本』『神の子どもたちはみな踊る』などの作品を対象として、そのような原作現象の理論的な本質と表現の諸相とに肉迫する。
著者からのコメント
3年間×2回に亙って展開した科研費研究の成果を中心として、これまで主に文芸を論じてきた著者が初めてまとめた映画の専門書です。第一部「〈原作現象〉の諸相」では、映画の原作とは何かを種々相に応じて分類し追究しています。第二部「展開される〈原作〉」では、リアリズム問題や地政学的な見方も交え、より幅広い作品を取り上げています。原作の分析と映画の解釈、それに第二次テクストの理論的な側面も含め、大冊ではないものの盛りだくさんな内容となっています。これを契機に今後もこの分野についての研究は継続してまいります。
外部リンク
〔出版社〕七月社の紹介ページ