内容紹介
行数8行、全体で150字程度の短詩を連作しました。書き出してからすでに3行目くらいで「どう終わるか」が課題になる熾烈な詩型です。ところが作りあげるのが愉しかった。曖昧さ、ずれ、余韻化などを盛っています。
著者からのコメント
一瞥で全体が見渡せながらも、何度も再読を誘惑する奥行きをつくり、読者を愛着へと導く――それが各詩篇をつくるときの課題でした。いろいろな詩作者からの影響を自分のものに変えています。定型性が即座にみてとれるとおもいますが、じつはその要件は行数の一定性ではなく、口調語調の感触、さらには一行音数の一定幅によるのではないでしょうか。そこに自らの不定性をそのままにしている現在の多くの詩への批判があります。もともと150篇で一旦完成していたのですが、半年ほど寝かせたあと愛着の残っていない詩篇を大幅に削りました。詩作と詩論の並行のほか、主題は季節推移そのものといえるかもしれません。「たりなさがあふれている」「欠落が欠落のなかを欠落でみたしている」。詩の場合、作者が自己解説できるのはこのくらいですね。