2015.02.28

伝統中国と福建社会

著者名:
三木 聰
文学院・文学研究院教員:
三木 聰(名誉教授) みき さとし

内容紹介

 本書は、主として中国の東南沿海に位置する福建省を地域的対象とし、14世紀の後半の明朝の時代から20世紀半ばの土地改革の時期までを扱っているが、〈福建社会〉という空間的世界を〈伝統中国〉という時間軸のなかで分析・検討を加えたものである。

著者からのコメント

 本書の内容は福建の沿海地域から内陸の山区へ、〈海〉の魚課・海賊の問題から〈陸〉の抗租・公田の問題へというように、分析の対象は様々で、或いは散漫の誹りを免れないのかも知れない。しかし、私の問題関心は〈伝統中国〉の持続性との関連で福建という一地域に固有の歴史的世界を解明することにあった。また、私にとって研究に対する最大のモチベーションは史料との出会いであり、特に実地調査で訪れた福建省寧化県の謝氏家廟内で碑刻や族譜から新史料を発掘したときの高揚感はいまでも忘れることはできない。

ISBN: 9784762965425
発行日: 2015.02.28
体裁: A5判 381ページ
定価: 本体価格11,000円+税
出版社: 汲古書院
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第1章 明代の福建における魚課について
第2章 福建巡撫許孚遠の謀略―豊臣秀吉の「征明」をめぐって
第3章 裁かれた海賊たち―〓彪佳・倭寇・澳例
第4章 清代前期の福建汀州府社会と図頼事件―王廷〓『臨汀考言』の世界
第5章 乾隆年間の福建寧化県における長関抗租について―新史料二種の紹介を中心に
第6章 土地革命と郷族―江西南部・福建西部地区について
第7章 一九五〇年期福建の土地改革と公地・公田
附篇 万暦封倭考―封貢問題と九卿・科道会議