2015.02.27

フィクション機構2

著者名:
中村 三春
文学院・文学研究院教員:
中村 三春(名誉教授) なかむら みはる

内容紹介

言語は根元的に虚構であり、文芸の虚構はその延長線上に実現される。この根元的虚構論の立場から、〈嘘と虚構のあいだ〉〈近代小説と自由間接表現〉〈第二次テクストと翻訳〉〈カルチュラル・スタディーズとの節合〉〈認知文芸学の星座的構想〉〈無限の解釈過程と映像の虚構論〉〈故郷・異郷・虚構〉など未解決の課題に答え、横光利一・太宰治・村上春樹の小説、安西冬衛・谷川俊太郎・松浦寿輝の詩、今井正の映画について論じた。

著者からのコメント

 1994年に刊行した『フィクションの機構』以来、20年ぶりの続編です。第一部の理論編「フィクションの諸相」と第二部の実践編「フィクションの展開」の二部構成となっています。一見難しそうに見えるかも知れませんが、第一部でも村上春樹の短編「緑色の獣」や「タイランド」、あるいは小林秀雄の「故郷を失つた文学」などの作品を取り上げたほか、第二部では横光利一の『上海』、太宰治の『新ハムレツト』などの小説、谷川俊太郎の『定義』などの詩集、それに今井正の映画『また逢う日まで』など、ポピュラーな作品の具体的な分析をふんだんに盛り込んでいます。理論・文学・映画などに関心のある方に、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

ISBN: 9784894767461
発行日: 2015.02.27
体裁: B6判 412ページ
定価: 本体価格4,400円+税
出版社: ひつじ書房
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

序説 根元的虚構論と文学理論
第1部 フィクションの諸相―根元的虚構論から
第一章 嘘と虚構のあいだ―言語行為と根元的虚構
第二章 虚構論と文体論―近代小説と自由間接表現
第三章 物語 第二次テクスト翻訳―村上春樹の英訳短編小説
第四章 表象テクストと断片性―カルチュラル・スタディーズとの節合
第五章 認知文芸学の星座的構想―関連性理論からメンタルスペース理論まで
第六章 <無限の解釈過程>から映像の虚構論へ―記号学と虚構
第七章 故郷 異郷 虚構―「故郷を失つた文学」の問題
第2部 フィクションの展開―詩・小説・映画
第一章 安西冬衛―『渇ける神』の可能世界
第二章 横光利一―非構築の構築『上海』
第三章 太宰治―第二次テクスト『新ハムレット』
第四章 谷川俊太郎―テクストと百科事典
第五章 村上春樹―<危機>の作家
第六章 松浦寿輝―詩のメタフィクション
第七章 今井正―『また遭う日まで』のメロドラマ原理