内容紹介
言語は根元的に虚構であり、文芸の虚構はその延長線上に実現される。この根元的虚構論の立場から、〈嘘と虚構のあいだ〉〈近代小説と自由間接表現〉〈第二次テクストと翻訳〉〈カルチュラル・スタディーズとの節合〉〈認知文芸学の星座的構想〉〈無限の解釈過程と映像の虚構論〉〈故郷・異郷・虚構〉など未解決の課題に答え、横光利一・太宰治・村上春樹の小説、安西冬衛・谷川俊太郎・松浦寿輝の詩、今井正の映画について論じた。
著者からのコメント
1994年に刊行した『フィクションの機構』以来、20年ぶりの続編です。第一部の理論編「フィクションの諸相」と第二部の実践編「フィクションの展開」の二部構成となっています。一見難しそうに見えるかも知れませんが、第一部でも村上春樹の短編「緑色の獣」や「タイランド」、あるいは小林秀雄の「故郷を失つた文学」などの作品を取り上げたほか、第二部では横光利一の『上海』、太宰治の『新ハムレツト』などの小説、谷川俊太郎の『定義』などの詩集、それに今井正の映画『また逢う日まで』など、ポピュラーな作品の具体的な分析をふんだんに盛り込んでいます。理論・文学・映画などに関心のある方に、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。
外部リンク
〔出版社〕ひつじ書房の紹介ページ