内容紹介
アイスランド語は千年前から文法構造がほとんど変化しておらず、「ヨーロッパ言語の奇跡」と称えられる言語で、サガと呼ばれる歴史叙事文学を中心に独創的で豊富な中世の文献を有しています。本書は文学作品から生の声を拾いながら、アイスランドの人々が言語文化遺産を精神的支柱として苦難の歴史を乗り越え、国際社会の一員となった過程をたどります。近現代の代表的作家を紹介し、詩の翻訳にはアイスランド語原典を添えました。
著者からのコメント
アイスランド人は「世界で最も本を読む国民」として知られています。人口約32万人の小国ながら、アイスランドは1955年にノーベル文学賞を受賞したハルドウル・ラハスネス (Halldór Laxness 1902~1998) をはじめとして、おびただしい数の作家を輩出しています。日本の北欧文学の受容にはかなりの蓄積がありますが、中世以降のアイスランド文学と言語擁護の歴史をたどった著作は、本書が初めてだと思います。最近、アイスランドはテレビ番組でも取り上げられることが多くなりました。環境汚染がまったくなく、「女性にとって世界一住みやすい国」とも言われています。本書でも、「女性文学の系譜」、「アイスランド文学の風土―自然環境と社会生活―」といった章を設けてあります。
なお、本書は通常の書店での入手がむずかしく、お求めのさいはインターネットで amazon をご利用いただくことになっています。本書が北極圏をかすめるこの絶海の孤島の言語文化について、理解の一助となれば幸いです。
外部リンク
〔出版社〕現代図書の紹介ページ