2009.07

ジハードタルスース

イスラーム世界とキリスト教世界の狭間
著者名:
太田 敬子(著)
文学院・文学研究院教員:
太田 敬子(元教員) おおた けいこ

内容紹介

イスラーム教徒(ムスリム)の急進撃に対して、ビザンツ帝国はシリア北部の山麓地域を防衛ラインとして、ムスリム軍のアナトリア侵攻を阻止した。そしてこの山麓地域一帯とそれに囲まれた平野部は、イスラームとキリスト教がせめぎ合う境界域(スグール)として歴史上重要な役割を担うことになる。そこには異教徒の領域への聖戦(ジハード)を推進するための都市が建設されたが、それらの中心的な役割を果たしたのがタルスースである。異教徒の領域と接する「ジハードの町」において、ムスリムが形成した社会の特徴を分析し、そこで活動した人々のアイデンティティーやイデオロギーを解明する。

ISBN: 9784887085084
発行日: 2009.07
体裁: 四六判並製・157ページ
定価: 本体価格1,600円+税
出版社: 刀水書房
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

第1章 境界域の都市タルスース小史
 イスラーム都市タルスースの建設
 ビザンツ境界域の中心都市への発展
 カリフ政権の衰退とタルスース
第2章 タルスースの都市社会
 タルスースの都市社会
 タルスースの住民
 タルスース社会の特徴
第3章 歴史におけるビザンツ境界域
 「ルームとのスグール」の範囲と構造
 スグールの成立と発展
 アッバース朝政権とスグール再建事業
 ムスリム勢力の交代とスグール
第4章 タルスースの歴史が語るもの
 「辺境」や「境界」を巡る諸問題
 「辺境」都市タルスース