内容紹介
本書は日本語による最もくわしいオランダ語入門書です。巻末に挙げた100冊以上の類書を比較検討し、言語学の成果も取り入れて、学習上の工夫をこらしました。独自に考案したカナ発音や、英語とは根本的に異なる語順の解説はその例です。挨拶の表現から『アンネの日記』、フェルメールの名画の解説まで、各課に添えたことばと文化をめぐる楽しいエッセイに触れながら、日常会話レベルの運用力と平易な文章の読解力を養います。
著者からのコメント
オランダ語は英語やドイツ語に似ていて、学びやすい言語です。鎖国下の江戸時代、オランダ語は日本人が最も熱心に取り組んだ外国語でした。しかし、開国とともに切り捨てられ、政府は当時の列強大国の言語重視策に転じていきました。幕末期、日本人として初めて英語を学んだとされる通詞の堀達之助は、幕府の委任状を手にして、ペリー率いる黒船の甲板に I can speak Dutch! と叫びながらよじ登り、オランダ語で交渉を行ったと言われています。
本書は独学によるほかなかった私自身の苦い学習体験、オランダ政府奨学金 (NUFFIC) の援助による留学、北大文学部での教育経験から生まれました。時間的制約の中で、教師や参考書に恵まれない環境にあって、どうしたら効率良く、納得のいく知識が得られるかを模索した結果です。
この本のほかにも、私はいくつかオランダ語の参考書を書いています。その中でも、昨今の厳しい出版事情のもとで、世界の諸言語に分け隔てなく理解を示している大学書林の誠意には、頭が下がります。本書では、他の出版社ではなかなか許してもらえない著者のこだわりを生かすことができました。
外部リンク
〔出版社〕大学書林の紹介ページ