内容紹介
本書は、ハラスメントの被害者・加害者のみならず、管理責任者としてこれからハラスメント相談室設置を検討したい方のほか、大学におけるハラスメントの実態や要因、対応の施策を知りたい方など、ハラスメントに関心を寄せ向き合う方にとって利活用できることを目的に書かれています。
著者からのコメント
本書は、次のような困りごとを抱えている方向けに書かれています。
- ハラスメントの被害者、加害者相当とされた方、及び管理者としてハラスメント相談室で何ができるかを知った上で利用したいという方
- 高等教育機関の管理責任者としてこれからハラスメント相談室設置を検討したい方
- 大学の教職員、学生・院生で当事者ではないのだけれども、大学におけるハラスメントの実態や要因、対応の施策を知りたい方
北海道大学では、一般の教職員のみならず、理事や総長にハラスメントがあったときをも想定した対応の要領が定めてあります。誰もが、ハラスメントの被害者・加害者・関係者になり得ます。「ハラスメントに聖域なし」は、偽らざるところです。
大学からハラスメントがなくなることはありえません。一つに、ハラスメントの構造的な要因として権力や優越的地位の恣意的利用があり、大学も巨大な教育組織として高いレベルの教育・研究をめざして競争的な環境にある以上、常に構造的に強い負荷がかかっています。もう一つは、人間関係に誤解はつきものだし、教員─学生、職員間で役割期待の齟齬が人間葛藤を生み出す以上、その調整が個人や相談機関によってなされなければハラスメントとしてクレームがあがるのは当然なのです。むしろ、ハラスメントの相談件数は、権利の回復を求める組織上の健全さと考えられなくもありません。そうした声をしっかり聴き取っていくことがハラスメント相談室の役割であるし、大学関係者の方々には相談室をしっかり活用していただきたいと考えております。
本書が大学のハラスメントに関心を寄せる多くの方にとって利活用できることを期待しています。
外部リンク
〔出版社〕北大出版会の紹介ページ