内容紹介
物語を語り、読むことは、私を私ならざるものに「接続」することである。
語り論、比較文学、イメージ論、アダプテーション論を駆使して、村上春樹『騎士団長殺し』『多崎つくる』『ノルウェイの森』、小川洋子『ホテル・アイリス』『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』、宮崎駿『風の谷のナウシカ』『風立ちぬ』などを論じる。
著者からのコメント
物語が何かと何かを接続することは、必然のことと思われます。けれども、物事は接続すればきちんと繋がるとは限りません。さまざまな繋がり方、繋げ方があり、またいわば〈繋がらなさ〉すら、文芸・芸術の場合にはその魅力の源となりえます。
私はここ数年、小説とその外部との接続のあり方を比較文学により、また内部における物語のトランジット(乗り継ぎ)については語りの理論に基づき、さらに小説とそれを原作とした映画との関係をアダプテーションの理論に依拠して、論文や授業・講演などを通して考えてきました。それらをまとめたものが本書です。
この試みはまだ先の展開も考えており、次は詩の問題へも論述を伸ばしていきたいのです。考えてみれば、私たち自身、誰かや何かと繋がったり、あるいは切れたりしながら日々を生きています。人間とは接続する動物なのです。本書がそのことを考えるよすがとなれば幸いです。
プラス1ピースの読書会〈動画版〉
外部リンク
- 〔出版社〕七月社の紹介ページ
- 〈接続する文芸学〉のこと/中村三春(七月社のウェブページ)