2020.03.18

高山寺経蔵の形成と伝承

著者名:
高山寺典籍文書綜合調査団(編)、池田証壽(編集責任)
文学院・文学研究院教員:
池田 証壽(名誉教授) いけだ しょうじゅ

内容紹介

京都栂尾の高山寺は、鳥獣人物戯画をはじめ、多数の絵画、典籍、文書を有することで知られる。その経蔵に収蔵される典籍文書は、高山寺典籍文書綜合調査団により永年にわたって調査され、研究成果を蓄積してきた。本書はその最新の成果を集約したものである。高山寺経蔵の典籍文書は膨大であり、影印既刊のものが多いが、未紹介資料も少なくない。本書に示された新知見と新資料は広く人文学の研究の進展に寄与するであろう。

著者からのコメント

本書は、高山寺典籍文書綜合調査団が五十周年を迎えることをきっかけとして、それまでの調査研究の成果を集約したものである。調査団は、築島裕先生(東京大学名誉教授)がその代表として調査を遂行されてきたが、現在、石塚晴通先生(北海道大学名誉教授)が代表として活動を継続している。本学文学研究院の池田証寿が編集責任者となり、北大に勤務経験のある土井光祐氏(駒沢大学教授)、大槻信氏(京都大学教授)、白井純氏(広島大学准教授)、および札幌在住の徳永良次氏(北海学園大学教授)の協力を得て編集を進めた。この論集の第一部論考篇は、高山寺経蔵の典籍を俯瞰する論考からはじまり、平安鎌倉時代の典籍を中心にして江戸時代までに及ぶ論考を収録する。第二部の資料篇は、高山寺典籍文書の番号順に収録した。第一部論考篇では多くの新知見を示し、第二部資料篇では新資料を多数収録している。さまざまな学術分野の研究に貢献する論集となったと自負するが、残された課題も少なくない。今後は、さらに精進を重ね、学術研究に少しでも貢献することを願っている。

ISBN: 9784762936463
発行日: 2020.03.18
体裁: B5判・536ページ
定価: 本体価格25,000円+税
出版社: 汲古書院
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

序 文
緒 言
第一部 論 考 篇
コディコロジーより見たる高山寺本
高山寺蔵空海撰述書の古写本・古刊本について
玄法寺儀軌における敬語待遇表現の諸相──院政期の東大寺点加点資料二種──
『雑筆集』所収の教化の文体
高山寺の古辞書音義(池田証寿)
江戸時代における高山寺の諸相──僧侶の事績を中心に──
中世初期旧仏教寺院における文字生活──明恵上人とその周辺を例として──
高山寺蔵『打聞集』について──仮名表記自立語の検討を中心に──
『脩華嚴奧旨妄盡還源觀』の刊行──印刷方法と訓読方針の関係について──
第二部 資 料 篇
高山寺蔵論語集解(清原本・中原本)解題・影印
高山寺蔵『法華経義疏第一』解題・影印
高山寺蔵「観智記」鎌倉時代中期写本 解題並びに翻字本文
高山寺本『受法用心集』解題・翻刻
金剛般若経依天親菩薩論賛略釈秦本義記 解題・影印(池田証寿)
小川義章師覚書類の概要と翻刻──歴代住職関連記事を中心に──
あとがき(池田証寿)
高山寺典籍文書綜合調査団名簿