2019.03.20

中国怪談集(新装版)

著者名:
中野美代子、武田雅哉(編)
文学研究院教員:
武田 雅哉 たけだ まさや 教員ページ

内容紹介

食人の記録から、怪しい言語誌、SF宇宙論、魯迅、マジカル・リアリズムの話題作、さらには天安門事件の共産党声明文まで。中国人が綴ってきた「人を喰ったはなし」を幅広く取り上げ、中国的感性の途方もない巨大さを丸ごとすくいあげた異色のアンソロジー。現実がフィクションを食いつくす恐怖の記録。

著者からのコメント

中国の怪談と聞いて、六朝の志怪小説『捜神記』や、唐代の伝奇小説、あるいは清代の『聊斎志異』などを思い浮かべるかたも多いでしょうが、そんなものはひとつも入ってません。中国の「由緒正しい」怪談を読みたい向きには、とんだ期待はずれでしょう。アンソロジーとして一本筋を通したのは、「人を喰う」というテーマです。
今回の文庫本は、1992年に出版されたものの新装版です。編集のはなしが来たのは、1989年6月4日の「天安門事件」の直後で、当時、私は北大文学部の助手でした。共編者の中野美代子先生(当時、北大言語文化部教授)からは、「君の好きなようにやればいい」と言われて、お引き受けしました。また「手垢のついたような中国怪談集は作らない」ことも確認しました。出版社のほうは、ちょっと渋ったようですが。中国学のエライ先生がたのなかには眉を顰めたかたもいらっしゃった由。ひそかにほくそ笑んだものです。最終的に、「国家が人の肉を喰らうはなし」が、本アンソロジー最大のテーマになってしまいました。あの事件から30年を経て再版された新装版です。

関連情報

「北海道新聞 2019年6月5日掲載」 北海道新聞社許諾D1907-2001-00021397

 

ISBN: 9784309464923
発行日: 2019.03.20
体裁: A6判・376ページ
定価: 本体価格1,000円+税
出版社: 河出書房新社
本文言語: 日本語

〈主要目次紹介〉

人肉を食う(陶宗儀/松枝茂夫訳)
十巹楼(李漁/辛島驍訳)
揚州十日記(王秀楚/松枝茂夫訳)
台湾の言語について(ジョージ・サルマナザール/武田雅哉訳)
砂漠の風(紀昀/前野直彬訳)
ボール小僧の涙(『点石斎画報』/武田雅哉訳)
ワニも僕の兄弟だ(『点石斎画報』/中野美代子訳)
宇宙山海経(江希張/武田雅哉訳)
薬(魯迅/丸尾常喜訳)
阿Q正伝(魯迅/丸尾常喜訳)
“鉄魚”の鰓(許地山/武田雅哉訳)
死人たちの物語(黄海/林久之訳)
五人の娘と一本の縄(葉蔚林/林久之訳)
北京で発生した反革命暴乱の真相(中国共産党北京市委員会宣伝部/武田雅哉訳)
人を喰ったはなし——中華帝国に迷いこんだゴーストたちの記録(武田雅哉)
編者あとがき(中野美代子)