内容紹介
医療技術の発展や社会の高齢化に伴い、生と死をめぐる諸問題が社会問題として注目され、死生観の果たす役割も見直されています。本書では、宗教学を研究してきた著者が、「いかに生き、いかに死ぬか」「何によって、何のために生きるべきか」という究極の問いについて、死生観と宗教との関係で追求します。
(文学研究科ライブラリ8)
著者からのコメント
生と死を考える。これは、現在では多くの出版物がテーマにしています。しかしその多くが単なる個人的見解を披瀝したものです。本書は、「生と死とは何か」に関する多くの先人の見解をその根拠にさかのぼって吟味し、ふるいにかけ、その中でなお残るものを精査しました。しかし本書は、学説史の検討をするのが目的ではありません。人類の知的遺産の中から珠玉の知恵を選りすぐり、それに依拠しつつ私自身の考えを練りました。三十年以上に及ぶ思索の成果です。当然答えはひとつではあり得ませんが、考慮に値する答えは出せたのではないかと信じます。