内容紹介
アメリカを代表する現代哲学者の一人であるトマス・ネーゲルの最初の著作です(原著の出版は1971年)。本書でネーゲルは「利他主義」altruismを共感などの感情ではなく、「理由」にもとづけることを試みています。ネーゲルはそこで自分の将来の利益について考えることである「慎慮」prudenceについての分析を応用しています。またネーゲルは「非個人的観点」と「個人的観点」を区別して、利他主義にとって重要なのは前者の観点だとしています。
著者からのコメント
本書は現代の規範倫理学・メタ倫理学の中でも重要な著作の一つとされており、本書で示された概念や用語は現代の倫理学の中で広く用いられています。特に「理由」に着目する本書のアプローチは直接的・間接的に多くの哲学者に影響を与えています。しかし、強い客観主義をとる本書の主張は難解と言われてきました。内容の難解さもあって、翻訳作業には長い時間がかかってしまいました。できるだけ正確かつわかりやすい訳にすることを心がけたので、学生さんを含めて現代の倫理学に関心のある方に是非手に取っていただきたいと思います。
外部リンク
〔出版社〕勁草書房の紹介ページ