内容紹介
カンナエの戦いでカルタゴの将軍ハンニバルに大敗を喫したローマは、離反したカプアそしてタレントゥムを相次いで奪還し、イタリア内で失地を回復しつつあった。そうしたなか、兄と合流すべくハスドルバルが軍隊を引き連れてスペインを出発しアルプスを越えてきた。だが、メタウルス川の戦いで壮絶な最期を遂げることになる。自陣に投げ入れられた弟の首を見たハンニバルが、カルタゴの運命をも悟るという印象的なシーンで、本分冊は終わる。
著者からのコメント
リウィウスは、古代ローマの初代皇帝アウグストゥス時代の歴史家です。『ローマ建国以来の歴史』は全142巻の大著であり、タイトル通りローマの建国から前9年までの歴史を取り扱っています。ただし、すべての巻(の写本)が残されているわけでなく、ある程度完全な形で現存しているのは、第1巻から第10巻までと、第21巻から第45巻までの合計35巻です。いま、京都大学学術出版会から「西洋古典叢書」の一環として、残された巻の全訳作業が進行しています。
第21巻から第30巻は、第二次ポエニ戦争、いわゆる「ハンニバル戦争」を取り上げた巻であり、この翻訳に収められているのは、そのうちの第26巻と第27巻です。これは前211年から前207年にあたります。有名なカンナエの戦いはすでに終わっており、その衝撃から回復しつつあるローマとカルタゴとの間で力の均衡状態が訪れ、次第にローマ側が優勢となっていく時期といえるでしょう。
この戦争の概要については、他でも読むことができますが、そのもとになった「史料」にどのようなことがどのように書かれているのか、味わってみて下さい。
外部リンク
〔出版社〕京都大学学術出版会の紹介ページ