鈴木 幸人

プロフィール

鈴木 幸人 准教授 / SUZUKI Yukito
研究内容

日本の古典的な絵画作品をおもな対象として、その鑑賞形態を重視する観点から、日本美術、日本文化の特質について考察しています。

研究分野
日本美術史、博物館学
キーワード
天神信仰の造形、絵馬と絵馬堂、歌舞伎の絵画、絵画の場、ミュージアム論
文学研究院 所属部門/分野/研究室
人文学部門/文化多様性論分野/博物館学研究室
文学院 担当専攻/講座/研究室
人文学専攻/文化多様性論講座/博物館学研究室
文学部 担当コース/研究室
人文科学科/哲学・文化学コース/博物館学研究室
連絡先

研究室: 604
Email: yukkun*let.hokudai.ac.jp
(*を半角@に変えて入力ください)

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関連リンク

Lab.letters

Lab.letters 研究室からのメッセージ
博物館学研究室鈴木 幸人 准教授

芸術研究は個人の経験から始まる
仁左衛門から天神縁起研究へ

芸術研究は、”個人の経験”が出発点と考えています。皆さんにも必ずある具体的な経験、そのはじめの感動を大切にしながら、そこからいかに普遍的なテーマを見出していくかが腕の見せ所です。

私がこれまで取り組んできた「菅公イメージ」研究は、学生時代に見た歌舞伎、先々代の片岡仁左衛門が勤めた『菅原伝授手習鑑・道明寺』への感動が出発点です。

菅原道真は没後、都を騒がす荒ぶる神や雷神、学問の神など実に多面的に神格化されました。その多様で複雑な菅公イメージについて、各地に遺された天神縁起絵の分析から、私なりの答えを見出そうとしています。

太宰府に左遷され失意のうちに世を去った「菅公」こと菅原道真。後に起きた天変地異は道真の祟りとされた。写真は、(左)金沢市崇禅寺の天神縁起絵扁額の一場面、(右)江戸時代出版の「繪本菅原實記」より。

「学芸員志望」から発想を広げ
希望に近づく就職活動を応援

芸術の知識や経験は年とともに蓄積していけるもの。今は絶対値が少ない皆さんも今後の行動次第で豊かな経験を積み上げていくことができます。

皆さんの先輩の中には、古典文化の本場である関西に足しげく通った意欲が現地の美術館関係者に認められ、希望どおりの就職を果たしたお手本のような実績を残してくれた人もいます。

芸術に関わる仕事に就きたい、展覧会やイベントの企画に参加したい。将来の夢を実現するためには新聞社や放送局事業部など間口を広く考えることも有効です。各自の能力を発揮できるよう、私もあらゆる角度から応援していきます。

(聞き手・構成 佐藤優子)

メッセージ

「芸術にたずさわって生きて行きたい」というのが、私が学生時代に立てた目標であって、以来変わらず、私の希望でもあります。これまでに心を奪われた芸術作品のひとつひとつ、それは映画であったり、絵画、音楽、演劇、また庭や風景であったりしますが、それらに繰り返して触れるたびに思い至る、それぞれのもつ、汲めども尽きぬ魅力、どんなに頑張ったとしても、一人の人間が到底、その全体なんて見極めることはできないでしょう。だから、芸術なんて、所詮、好き嫌いの問題であって、況や芸術を考えることなんて、人間一生の業たりえないとも言えるでしょうが、だからこそ、一生をかけて付き合う価値があるのだとも言えるだろうと思います。

私は、日本の古典的な芸術作品をおもな対象として、日本文化の特質を考えていくことを現在のテーマにしていますが、これは、単なる懐古趣味でも骨董趣味ではなく、親しいけれど同時に異質な芸術作品をとおして、現在の社会や文化を、そして今の自分を、時間的に空間的に相対化して把握することと考えています。つまり、「芸術を考える」ことは、「私を考える」ことにつながる。芸術作品へ向かった私からの視線はそのまま私へと向かっている。であるとして、何のためにそんなことをするのか。学生時代、芸術の向こうに垣間見た「よりよく生きること」を求めつづけるため、としか今はまだ言いようがありません。

研究活動

略歴

1966年4月8日、徳島市生。京都大学文学部美学美術史学専攻卒業、同大学院美学美術史学専攻修士課程修了、大阪市立美術館学芸員(1993年4月~2004年3月)をへて、2004年4月から現職。

主要業績

  • 絵姿と絵面 ―「歌舞伎の絵画」論への覚書(「美術フォーラム21」 44号、2021年)
  • 「晋の予譲の例を引き」―予譲の説話と絵馬をめぐって(北大文学研究院ライブラリ『かなしむ人間 』、2019年)
  • 編著『恋する人間 人文学からのアプローチ』(北大文学研究科ライブラリ、2018年)
  • 金沢・崇禅寺の天神縁起絵について~「版本」「扁額」の天神縁起絵~(北海道芸術学会・芸術論評9号、2017年)
  • (共著)『太宰府系天神縁起絵の世界』(財団法人太宰府顕彰会、2012年)
  • “An Art History” in 1820 (Bunsei-Era); An Essay on the Screen Pictures of Sangen-in, Daitoku-ji Temple(Journal of The Graduate School of Letters,vol.1, 2006)

所属学会

  • 美学会
  • 美術史学会
  • 北海道芸術学会

教育活動

授業担当(文学部)

  • ミュージアム・スタディーズ(講義、演習)
  • 芸術学演習
  • 博物館資料保存論
  • 博物館実習

授業担当(文学院)

  • 博物館・文化財研究特殊講義
  • 博物館・文化財研究特別演習

おすすめの本

  • 『日本文学史序説』 加藤周一著 (ちくま学芸文庫所収)
    絵画、茶、能、歌舞伎…、芸術・芸能も含めて日本で展開された「思想」全体を見通す視点。必読。