プロフィール
- 研究内容
現代ドイツ語、中世ドイツ語とドイツ語史、ドイツ語方言; オランダ語、フリジア語を中心とした西ゲルマン語; アイスランド語を中心とした北ゲルマン語(北欧語)、アイスランド文学の研究
- 研究分野
- ドイツ語学、ゲルマン語学
- キーワード
- ドイツ語、オランダ語、フリジア語、アイスランド語、北欧語
- 文学研究院 所属部門/分野/研究室
- 人文学部門/言語科学分野/言語科学研究室
- 文学院 担当専攻/講座/研究室
- 人文学専攻/言語科学講座/言語科学研究室
- 文学部 担当コース/研究室
- 人文科学科/言語・文学コース/言語科学研究室
- 連絡先
研究室: 301
Email: mshimizu*let.hokudai.ac.jp
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Lab.letters
ドイツ語から始まる
地方色豊かなゲルマン語の旅
ドイツ語やオランダ語、北欧語を包括するゲルマン語の魅力は互いの親和性にあります。いずれの言語も起源を同じくし、陸続きのヨーロッパ各地に伝播したり、海を越えて北極圏をかすめるアイスランド語から、中東イスラエル等のイディッシュ語、南アフリカ共和国のアフリカーンス語まで世界中に広がっていったもの。日本人が英語を覚えるハードルの高さに比べると、ドイツ語の次はオランダ語という風に言語習得の旅を容易にしてくれます。
ヨーロッパの中心部に位置するドイツ語圏には地方文化を大切にする歴史があります。1984年に一地方の方言が「ルクセンブルク語」として社会言語学的に認められた例もあります。ドイツは環境大国ですのでそこから語学に関心を持つ学生もいますが、少数言語の衰退も一種の環境破壊に数えられます。私たちの言語への関心がそれを止める一助になればという思いで研究を進めています。
研究を支える留学や奨学金...
学生同士の情報交換も活発
言語学には文化的な関心にとどまらない理論の構築が求められます。私の研究対象はドイツ語に加えて、おもにフリジア語群とアイスランド語です。未開拓の言語には新たな発見が宿っています。学生の指導については本人の自主性を最重要視しています。2009年にはスイスドイツ語を研究している院生、2011年にはルクセンブルク語を研究している院生が、優秀な若手研究者に与えられる財団法人ドイツ語学文学振興会の奨励賞を受賞しました。
ドイツ語圏は授業料が無料の大学が多く、留学する側は経済的な不安を抱えずに勉学に集中できます。研究室内でもこうした留学や奨学金情報は活発にやりとりされ、後に続く学生たちのやる気を後押ししています。
(聞き手・構成 佐藤優子)
メッセージ
ドイツ語はオランダ語や英語とともに、江戸時代以降、日本人が最も熱心に学んできたヨーロッパの言語であり、近代日本の根幹を形成してきました。日欧文化交渉史上、重要な意味を持つ言語です。ドイツ語はまた、歴史的に大きく変化してしまった英語と違って、ゲルマン語的な性格を比較的明瞭に残し、構造がつかみやすい言語です。歴史的に遡ることも、それほど困難ではありません。現代言語学理論への貢献も著しいものがあります。
ドイツ語は他のゲルマン語ときわめて近く、大きな類似点があります。ドイツ語の知識があれば、他のゲルマン語の習得も夢ではありません。北欧スカンジナヴィア諸国やオランダ、ベルギーの言語も容易に理解できるのです。ドイツ語圏は地方文化を大切にする国ですが、ドイツ語圏内部の言語的多様性も豊かです。スイスドイツ語、北部の低地ドイツ語、ルクセンブルク語、フリジア語など、日本では未知の分野も標準ドイツ語の知識を活用すれば、十分に開拓できます。
ドイツ語圏はまた、大学の授業料が基本的に不要で、留学しやすいことが利点です。北大にはミュンヒェン大学との交換留学制度もあり、ドイツ学術交流会 (DAAD) 奨学金、スイス政府奨学金、オーストリア政府奨学金、ロータリー財団奨学金などを通じて、学部・大学院生の多くが留学を経験しています。
まだまだ十分には知られていないヨーロッパの言語文化の諸相を直接、深く理解したい人には、ドイツ語学を学ぶことをおすすめします。
研究活動
略歴
東京大学大学院修了、同大学助手、千葉大学専任講師を経て現職。文学博士、オランダ学士院フリスケ・アカデミー会員、在外フリジア人協会名誉会員、ドイツ語学文学振興会奨励賞受賞、日本独文学会賞受賞
主要業績
- 『新コンサイス独和辞典』(共著、三省堂)
- 『現代オランダ語入門』(単著、大学書林)
- 『西フリジア語文法―現代北海ゲルマン語の体系的構造記述』(単著、北海道大学出版会)
- 『オランダ語のしくみ』(単著、白水社)
- 『ゼロから話せるオランダ語』(単著、三修社)
- 『北欧アイスランド文学の歩み』(単著、現代図書)
- 『アイスランドの言語、神話、歴史』(編著、麻生出版)
- 『ゲルマン語入門』(三省堂)
→第11回日本独文学会賞を受賞 - Kontrastive Studien zur Beschreibung des Deutschen und Japanischen(共著、iudicium)
- 『講座ドイツ言語学 第2巻 ドイツ語の歴史論』(共著、ひつじ書房)
- 『ゲルマン語歴史類型論』(単著、北海道大学出版会)
所属学会
- Fryske Akademy
- It Frysk Boun om Utens
- Nordfriesischer Verein
- 日本独文学会
- 日本言語学会
- 日本アイスランド学会
- ドイツ文法理論研究会
- 京都ドイツ語学研究会
- 北海道ドイツ文学会
- 北海道大学ドイツ語学ドイツ文学研究会
教育活動
授業担当(文学部)
- ドイツ語学概論
- ドイツ語学
- ドイツ語学演習 I
- ドイツ語学演習 II
授業担当(文学院)
- 西洋言語学特別演習
- 言語分析論特別演習
授業担当(全学教育)
- 思索と言語(北欧の言語と文化)
- 外国語演習(ドイツ語演習)
おすすめの本
- 『ヨーロッパの言語』泉井久ノ助著(岩波新書)
安価な新書版でこれほど豊かにヨーロッパ諸言語の歴史、構造、文化的背景を教えてくれる本はありません。 - 北海道大学附属図書館Webサイト「本は脳を育てる」(北大教員による新入生への推薦図書)のコーナー
清水 誠 先生 ご推薦の図書